※「鎌池和馬の一〇年分の構造」は「鎌池和馬10周年!公式サイト」に掲載されたものです。

 今回の企画は、せっかくの鎌池和馬一〇周年のホームページですので、小説以外でも何か鎌池和馬色を出せないかな、といったところから始まりました。
 電撃文庫でも、作品名でもなく、作家名を冠したサイトへやって来てくれる方の中には、ひょっとしたら鎌池和馬そのものの構造を知りたいという要望もあるのかなと思いまして。とはいえ私はやっぱり小説バカ、話せる事と言ったら小説の事くらいしかありません。
 そんな訳で色々小説についての自分なりの意見や考え方をまとめてみたのがこちらになります。
 ちなみに若干技術寄りの話になっていますが、実際には後述するテクニックの他に、まず大前提として『こんな話を作ってみたい』『こんなキャラを暴れさせたい』というエモーショナルな部分が当然あります。ただ、そういった愛の部分を熱く語ってしまうともはや言葉の体裁を保てないと思いまして、今回は『言葉にできる部分』だけに徹底させています。
 もしも冷たい印象を与えてしまったのなら、すみません。
 また、あくまでも自分なりのお話の作り方の理想として羅列したものですので、実際の原稿には反映されていないパターンももちろんあります。基本を押さえた上で外しにいく、というのもそれはそれで必要な事だったりしますので。


 なお、単純に鎌池和馬の構造を知りたいという方の他に、これから小説を書いてみたい方、やってみたいけど最初の一文字目がもう分からない、といった方にも参考になるかもしれません。
 ただし、そうした参考資料として使ってみようと考えている方に、一点だけご注意を。
 これから表に出すのは、あくまでも鎌池和馬が自分なりにきっとこっちが正解だろうと考えて突き進んできた結果に過ぎません。そして小説というメディア自体、正しい作り方などというのは存在しないのでは、とも考えています。
 なので、参考にしていただくのは一向に構いませんが、鵜呑みにだけはしないでください。
 ジャンク屋を覗くくらいの気持ちで、使えるものがあったら掘り出し品を引っこ抜くくらいの感覚で、ご自身の技術として吸収してください。
 また、反面教師として活用していただくのも有効だと思います。『俺は違うよ』『私だったらこうするよ』という気持ちを呼び起こせれば、それこそが新しいオリジナリティへ結びついていく、と思いますので。
 究極、これは古い方法論だから、そうならないように自分はこっちへ行こう、でも十分に意義はあるのではないでしょうか。
 後述しますが、小説に挑戦する上で一番のハードルは、『恥ずかしがらない事』『苦手意識を持たない事』だと思っています。
 参考にしていただいても、けなしていただいても構いません。どんな使い方をしても良いので、是非このハードルを乗り越えるきっかけ作りにしていただければと。


 ではでは、鎌池和馬の構造を知りたい方も、小説の書き方に興味がある方も、暇潰し感覚の方も。
 一人でも多くの方に、有意義だったと思っていただけるものにできればと願っております。