ここでは一定以上小さな『点』のストックが溜まった後の話をします。
どのようなお話を作りたいか、にもよってしまうと思いますが、日々小さなネタ、アイデアを書き留めていくと、その内に優先順位のようなものが生まれてくるものです。
このアイデアAとアイデアBを並べたら、アイデアBが潰されるのは嫌だな。
アイデアBを中心にしたいな。
これで話を作ってみたいな。
……そんな感じでうずうずしてきたら、次のステップへ進みます。ここでも『頭の中で考える』以外に、いったん頭の外へデータを出してみます。
デジタル、アナログ、どちらでも構わないのですが、私の場合は自分で手を動かす方がすんなり情報をまとめられる気がします。平たく言うと、ノートやルーズリーフ、後はシャープペンシルを使う、という事で。
例えば『鬼』というテーマのバトル小説を書きたい場合、
鬼
妖怪として?
化け物としての鬼? 見えない怪異の隠?
物質的で生物的な鬼と、データ的でネット的な隠が対立する世界?
などなど、一つの単語を書いたら連想する語を片っ端から並べていく、という方法を取ると、自分自身でも思いも寄らなかった頭の引き出しを開けるきっかけになります。
また、特に使えるテクニックとして、『その作品を書きたいと思った、一番最初の人物、設定、世界、ワンシーン、台詞』などを中央に置き、そこから周りを固めるように言葉を並べていく、という方法があります。
文章だけだと説明しづらいのですが……、
『鬼』
という単語をまずノートなりルーズリーフなりの中心に書きます。
次に連想する語を周りに並べていくと、
現実世界と、和風のバーチャルが共存
クリーチャーとデータ 舞台は現代? ファンタジー?
そういう生き物? 『鬼』 倒すべき敵は誰?
主人公が? ヒロインが?
怪力 それも数あるスキルの一つ キャラごとにスキルは変わる
昔話を格好良くしてみる 人に取りつくヤツもいるとか
……こんな感じで、情報が膨らんでいく訳で。ここで大切なのが、まず中心に一番大切な単語を置く事で、『世界観のどこを切り取っても、必ず「鬼」という重要ワードが頭に浮かぶ』といった形で設定やストーリーを自然と固める事ができる、という点ですね。こうする事で、『自分が一体何を伝えたかったのか』という根本からどんどんお話が逸れてしまう、といった弊害の発生を先に潰せるのです。
実際にやってみると分かるのですが、項目を足していく内に自分の頭の引き出しから思いも寄らぬ単語や単語同士の連結が次々に浮かんでくるものです。『頭の中ではちゃんと組み立てているよ、分かっているよ』というのは、全く信用ならないんだな、と。
これは『思いも寄らぬアイデアを自分の隠れた引き出しから取り出す行為』ですので、一つ一つを書き込むのにうんうんと唸って五分も一〇分も手を止めるのではあまり意味はありません。やはり可否の判断は後回しにして、とにかく思い浮かんだ『点』は片っ端から並べて他の項目と関連付ける、くらいの気持ちの方が効果的だと思います。
とはいえ、別段紙の媒体にこだわる必要はなく、ようは、
『自分の頭以外の場所にデータを移す』
『連想ゲームのように次々と書き込む事で、普段意識していない引き出しが開くのを促す』
以上の二つを満たす事ができるものであれば、何でも構わないと思います。個人的にはパソコンのワープロや携帯電話のメモ帳よりは、手書きで文字を書き込んだ方が『連想』をしやすいな、という印象があるだけで。漢字や英単語の練習と同じ効果でもあるかもしれませんが、さて。
このノートだけでもお話は作れるのですが、もうちょっと清書をしたい場合は、プロットを組んでみるという方法もあります。