まずは時期について。
これは大雑把に春夏秋冬、と思い浮かべて、どの季節だったらキャラクターを動かしやすいかな、というので決めています。自分の場合は夏が多いかもしれません。水着使い放題ですし!!
次に舞台について。
大きく分けると『現実世界、またはその延長』か『ファンタジーやスペースオペラのように、現代から隔絶された世界』かをまず定義します。
この二つには、それぞれメリットとデメリットがあります。
現実世界のメリットは、とにかく理解が早い、そして新しく設定しなくてはならない情報が圧倒的に少ない事が挙げられます。
ただしデメリットとして、どれも凡庸に見える……という事も。
隔絶された世界のメリットは、とにかく目新しいものを作れる、現実世界の諸々のしがらみから解放された自由な世界を作れる、といったところ。
デメリットとしては、貨幣、宗教、国家、生態系……設定しなくてはならない項目が圧倒的に多く、またそれをストーリーの中で『自然に』説明しなくてはならない、というところでしょうか。料理を食べながら名産品は何でどういう気候だからこういう作物が採れるのだ、的な事を説明したり。物々交換の現場で宝石や紅茶のやり取りをし、どっちの地方で何が珍重されているかを話したり。しかし一方で、あまりにも細かく作ったら作ったで『せっかくのファンタジーなのに自由度がない、まるで会社勤めみたいにガッチガチで息苦しい!!』となるリスクも孕んでいます。
個人的にはファンタジーの方が難易度は高いように思えます。
ちなみに現実世界『の延長』にある世界……例えばインデックスに出てくる学園都市や座敷童に出てくるインテリビレッジなどを構築する方法には起点というか、コツみたいなものがありますので紹介しておきます。
基本的には『一点を極端に肥大化させる』か『逆に取り除く』か、から始めます。
次に、歪んだ仕組みを成立するために必要な項目を、雪だるまのように膨らませていきます。
さらに『歪めた世界を肯定的に描くか否定的に描くか』で方向性を決められます。
学園都市の場合は『学校』というものを徹底的に肥大化させ、学生中心の一つの街を作っています。
インテリビレッジは妖怪が普通にいる世界で、その妖怪を呼び込む部品としてハイテク化、再整備された田舎というねじれた、王道から逆に舵を切ったものを用意しています。
他にも、例えば食料をテーマにした物語を書く場合、『砂漠化で食料のない世界(取り除く)』か『食料が増え過ぎてあっちこっちで腐っている世界(肥大化させる)』かで大分イメージは変わるのでは? そして食料のない世界だからといって悲観的にしなければならない、という理由も特になく、例えば『地球は全部砂漠化したけど、野菜工場が発達したから大丈夫』としてしまう事もできる訳です。
この辺りは前述のテーマと照らし合わせ、ストーリーを作る上で『便利な』仕組みを組み立てていく、と考えています。
例えば、
『主人公に一人暮らしさせたいから全寮制の学校にする』
『日常的にバトルができるよう、コロシアムが合法化された世界にする』
『空飛ぶ主人公を活躍させたいので、浮遊大陸の話にする。高ければ高い位置にある大陸ほど身分が高く、主人公だけは大気圏を突破できる』
……などでしょうか?
舞台設定は主人公の活躍と直結する項目です。名探偵をコロシアムに放り込んでも何もできないように、名探偵を主人公にするからには、名探偵が一番活躍できる舞台を作ってあげると、『設定を持て余す』事はなくなります。
ただしこれは、名探偵が出てくるからには時刻表ミステリーでなければならない、といった話ではありません。例えば『名探偵がバトルモノの世界へやってきて、持ち前の推理力で敵の特殊スキルをあっという間に看破していく話』であれば、剣と魔法の世界で名探偵を際立たせる事もできる訳ですからね。
余談ですが、この手の不思議な舞台は『そういう世界』よりも『そういう街』の方がイメージしやすいかな、という印象があります。これは一〇〇万円と一〇〇億円の違いと同じで、私がイメージできる限界値がその辺なのかもしれません。皆様はいかがでしょうか?