エッセイ

エッセイ「電撃的 春夏秋冬」第20回

『エドワード・スミスと11月のクリスマス』
エドワード・スミス

【著者プロフィール】『侵略教師星人ユーマ』で第18回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞し、同作にてメディアワークス文庫からデビュー。電撃文庫では2014年に『マーシアン・ウォースクール』、2015年に『竜は神代の導標となるか』を刊行し、精力的に執筆している気鋭の作家。

 間違えていませんよ。11月であってます。
 街をご覧なさい。特にコンビニやデパートなんてクリスマスの準備に入ってますよ。気がついたらあちこちにイルミネーションが設置されて、「あれ? もう12月?」みたいなことになっているんです。
 しかも厄介なことに、近年は10月末にハロウィンというやつが定着してしまった。今までは「行楽シーズン」とか「〇〇の秋」くらいしか特徴がなくて11月と境界線すら曖昧だった10月、そんな地味(じみ)友(とも)の裏切りにより、ついに11月はこれといったイベントのないままその存在が前後から押し潰されつつある。まさに前門のハロウィン、後門のクリスマス。
 どうする11月、どうなる11月。このままアイデンティティになるようなイベントが出てこなければ、11月は「ハロウィンの後片付け期間」と「クリスマスの準備期間」になってしまうかもしれない。売れ残りのハロウィン商品と気の早いクリスマス商品を入れ替えるだけの月になってしまうかもしれない。オシャレなお家を彩るお手製イルミネーションの「Halloween」と「Xmas」の文字を交換するだけの月になり果ててしまうかもしれない!
 え? 6月も地味? 6月には「梅雨」とか「ジューンブライド」があるじゃない。
 9月? 9月には「あの子がまさかの新学期デビュー」とか「夏休みに勢いでできたにわかカップルの破局」とか面白いイベント満載じゃない。
 これでいいのか11月。「にしむくさむらい」の「さむらい」、つまり武士の気概はどこへいってしまったのか。
 ……いや待て。武士、武士か。周囲の賑やかさにつられてでしゃばるのは武士の振る舞いじゃないな。
 それにハロウィンもクリスマスも消費カロリーの高いイベントだから、11月は休んでないと年明けまでに息切れしちゃうし。体力とか、お財布とか。
 そう考えると11月は目立たないなりに大事なポジションなのかも。体力とお財布のインターバルだな。偉いじゃん、11月。僕は好きだよ、11月。

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