エッセイ

エッセイ「電撃的 春夏秋冬」第8回

『上遠野浩平と11月の「暴走」』 
上遠野浩平

【プロフィール】『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞<大賞>を受賞し、同作でデビューを飾る。最新刊『溶暗のデカダント・ブラック』は今月発売!

 ちょっと内幕をバラしてしまうが、毎年だいたい十一月頃に電撃小説大賞の授賞式がある。私もいちおう歴代受賞者の一人なので、毎度お邪魔させてもらっているのだが、なにしろ以前よりずっと規模が大きくなってしまっているので、かなり恐縮しながら参列させてもらっている状態である。しかし私の頃はもう少し時期が早くて、確か九月頃にやっていたような記憶がある。その授賞式では、私はどこか気もそぞろで挨拶とかも超テキトーで何を言ったかさえロクに覚えていないのだが、別に緊張していたのではなく、理由があって、その頃に既に受賞後二作目と三作目を書いている途中だったのだが、これが担当編集者に何も言われないうちに、こっちもほとんど内容を伝えず暴走して、ボツ覚悟で勝手気ままに書いていたのである。ていうかその作品「VSイマジネーターPart1,2」がどんなストーリーなのか、他人に説明できる気が全然しなかったのである。今でもできる気がしない。しかしこれを書かなければ俺は作家になろうという意志などないも同然、と訳のわからない気負いに衝き動かされて突っ走ってしまったのである。我ながらすごく危うく脆いバランスの上に成り立っている小説で、よくもまあこんなものを書けると事前に信じることができたなと自分に呆れる。これが完成したのがその年の十一月かそこらだったような気がする。まだ受賞作も出版されていないときで、ずいぶん気が早いと思われそうだが、この辺は現在の受賞者の人たちも似たような感じだと思う。一作目が出る際にはもう次作も準備に入っているのが普通なのだ。もっとも私の時は予定もなんにもなくて一人暴走していただけであるが……もしかしたらそのせいで後の人たちが無駄に急かされる理由を作ってしまったかも知れない。だとしたらすいません。いや本音では全然反省してないんだけど。VSイマジネーターもまだ密かに続行中だし。懲りないねどうも。

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