エッセイ

エッセイ「電撃的 春夏秋冬」第4回

『佐島勤と7月のボランティア』
 佐島 勤

【プロフィール】web小説投稿サイトに連載していた『魔法科高校の劣等生』で注目され、その後、同作で電撃文庫より書籍化しデビュー。新作『ドウルマスターズ1』は今月発売!

 カレンダーのページが7月に変わった。
 七夕を目前に控えたこの時期、佐島少年には毎年参加している恒例行事があった。実施されるのは七月の第一日曜日で場所は屋外。まだ梅雨の時期だ。雨が降れば中止になるのだが、何故か毎年、その日は運良く雨が止む。今年も外は五月晴れ。せめて曇れば良いのにと思いながら、佐島少年は麦わら帽子をかぶった。服は長袖、手には軍手、首には手拭い。足には長靴。そもそもまだ男の色気がどうこうという年齢ではないが、そこを差し引いても色気が無い。
 それも仕方がないだろう。集合場所に参じた面々は少年と青年と成人男性。つまり、全て男。張り切っている面子もいるにはいたが、それはあくまで少数派。仕方ないから早く終わらせようとする空気が主流であることに、佐島少年はほっとした。張り切るだけならともかく、獲物に拘られると長引くのだ。
 青年会のリーダーが先頭に立ち、鬱蒼とした茂みの中に足を踏み入れる。こうして暗がりに入ると、いささか異様な雰囲気になる。第三者の目から見たならば、大小様々の刃物を手にした若者(少年を含む)が獲物を探す目つきで群れを成しているのだから。
 やがてリーダーの青年が足を止め「これにしよう」と声を掛けた。数人が集まり、一人が代表して刃物を構える。
 ギーコ、ギーコ。ギーコ、ギーコ。
 残りの若者たちは、次の獲物を探して茂みの中を進んでいく。
 彼らのターゲット、それは七夕の笹飾りに使う竹だった。

 ……という訳で、少年時代に恒例だった七夕の準備を少々脚色して見ました。雨が降った年のことは大人になる前に引っ越してしまったので分かりません。

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