エッセイ

エッセイ「電撃的 春夏秋冬」第17回

『聴猫芝居と8月の甲子園』
聴猫芝居

【著者プロフィール】『あなたの街の都市伝鬼!』で第18回電撃小説大賞<金賞>を受賞し、同作でデビュー。最新シリーズ『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』がアニメ化決定!

 8月といえば夏真っ盛り。学生であれば夏休みであり、海に行き、山に行き、川に行き、夏祭りに行く。それはそれは青春のイベントにあふれた季節です。ですが昔、高校生だった私にとって、8月最大のイベントは夏の高校野球。いわゆる甲子園でした。
 私の母校は決して強い高校ではありませんでした。部員はみんな頑張っていて、地区大会で何試合か勝ち進む。でも途中で甲子園常連の強豪校に負けて、結局は甲子園に行けない。そんなよくある学校だったのです。
 母校は出場できませんが、だからといって、甲子園に興味がないわけではありません。自分のクラスメイトや先輩、後輩を倒したチームが出場しているのですからね。クラスメイトの山田さんを倒した佐藤さんが全国でどこまで勝ち進むだろうか、なんてことをワクワクしながら見てしまうのです。
 でも現実は厳しい。あれだけ強かった、あれだけ凄かった佐藤さんが、あっさりとさらなる強豪に負けてしまう。すると次は『私達の山田さんを倒した佐藤さんをさらに倒した前田さんのチーム』は優勝できるのか、と次の高校に注目してしまいます。
 それがどんどん繰り返されて、決勝戦まで行くと『私達の山田さんを倒した佐藤さんよりも凄い前田さんでも勝てなかった柳沢さんの上を行った田中さんのチーム』を応援している、というような状況になったりもするわけです。私と同じようなことをしている人が全国に居るでしょうから、決勝に残ったチームはどちらもたくさんの人が応援しています。
 でもそんな勝手な期待とは無関係に、選手達は自分と仲間のためだけに戦うんですね。だからこそ気軽に、でも心からの声援を送ることができる。これが楽しいんですよ。
 今でも毎年のように高校野球を見て、あの日の興奮を思い出します。
 そう、ひらめくスカート、上がる足、健康的な腋、輝くような笑顔。忘れられませんね。
 ――あ、はい、チアガールの話です。

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