エッセイ

エッセイ「電撃的 春夏秋冬」第21回

『虎走かけると十二月の電飾』
虎走かける

【著者プロフィール】『ゼロから始める魔法の書』で第20回電撃小説大賞<大賞>を受賞し、同作にて電撃文庫からデビュー。

 十二月が近づくと、作業服姿の人々が街路樹によじ登り、何やら怪しげな作業をしている場面に出くわすことがある。長い電線で木をぐるぐる巻きにし、かと思えば低木に網場の電線を被せ、電線で作った動物のオブジェを並べ立てる。それらは夜になるとキラキラと光りだし、クリスマスへの期待で浮き足立ったカップルやら、家族連れやらの目を楽しませる。
 私も昔から電飾が大好きで、誘蛾灯に集まる虫よろし吸い寄せられる性質があった。しかし、「好き」だからといってすなわち「詳しい」というわけではなく、当時の私は電飾に無知だった。クリスマスが終わると一斉に撤去さてしまうあの心躍る小さな電飾の数々は「自然発生」するものであって、誰かが設置したりするものではなかったのだ。 
 もちろん冬になると木に電飾が茂り、冬が終わると枯れるなどという超自然現象が起こる訳もなく、あれが電飾屋の仕業である事を知って私は衝撃を受けた。それが人の技だと知って、ますます電飾が好きになった。
 というわけで、十二月に入って電飾が本格化し始めると、私は〝一人で〟いそいそとデートスポットやら遊園地へとでかけ、電飾屋達の熱き魂に心をときめかせる。
 私もいつか広い家に住めるようになったら、庭を電飾で飾ってみたいなあとか。けど電気代がすごい事になるって聞いたことあるなあとか。子供の頃はクリスマスツリーを電飾でぐるぐる巻きにするの好きだったなあとか……いろいろな事を思いながら私の十二月は過ぎてゆく。
 ちなみに十二月は年末進行の時期でもあるので、オフィス街に並ぶビルの窓には夜中でも明かりが灯っている。それもまた一つのイルミネーションなのかなと思いつつ、私も朝までフル稼働する会社にふらふらと出勤するのである。そう……幼い頃の私と同じ、あたかも誘蛾灯に集まる虫のように(ドヤ顔)!

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