エッセイ

エッセイ「私の電撃体験」第2回

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伏見つかさ

2006年、第12回電撃小説大賞に応募した『十三番目のアリス』が編集者の目にとまり作家デビュー。2008年に刊行された『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(1~8巻発売中。以下続刊)は話題作となり、2010年10月にアニメ化もされた。同作のアニメ脚本やゲームシナリオも書き下ろすなど、マルチに活躍中。

伏見つかさです。『わたしの電撃体験』というお題でエッセイを書かせていただくことになりました。そういうのは最近一生分経験したばかりなので幾らでも書けるんですけども、『電撃の缶詰』に掲載する文章にするとなると、悩んでしまいますね。では、私が電撃文庫でデビューしたときのことにしましょうか。確かあれは2005年の10月くらい、某新人賞(電撃大賞にあらず)に原稿を投稿した翌日のことでした。夕方ふと気付くと、携帯の伝言メモに、やたらと早口なメッセージが録音されていたんです。録音の最初(社名の部分)が切れていたのと、どうせイタ電だろと半分以上聞き流していたせいもあって「ちっ、宗教の勧誘かよ」と思いました。念のためにもう一度聞き直してみると、なんと電撃文庫編集部からではありませんか。勧誘は勧誘でも、あなたの作品を本にしたいので相談しましょうという勧誘だったのです。超驚きましたとも。当時の私は電撃大賞に作品を投稿したものの、あえなく落選が決定し、大賞作品の「お留守バンシー」に醜い怨念を送る毎日を過ごしていましたので、こんなことが起こるなんて信じられなかったんです。嬉しいというよりも、とにかく驚きました。さっそく折り返し電話を掛けてアポイントをとり、編集部に乗り込んで──。もう懐かしい話になってしまったのですが、いまもはっきりと思い出せます。編集部にスーツで行ったらメチャクチャ笑われたこと、初対面なのにボロクソ言われたこと、折り返しの電話の際「他の新人賞に原稿を送ったばかりなんですけど」と相談したら、電話を切られそうになったこと、etc,etc……中々忘れようと思っても忘れられない電撃体験です。担当が付いてからデビューするまでの試行錯誤の日々、デビュー作が本屋に並んだとき、初めて読者から感想をもらったとき、初めてファンレターをもらったとき──あれからずっと、いまも電撃体験が続いています。

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