エッセイ

エッセイ「私の電撃体験」第22回

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ハセガワケイスケ

2003年『しにがみのバラッド。』にて電撃文庫デビュー。最新作『ジョシコーセーの成分。』は今月発売!!

どうも、生まれも育ちも福井県のハセガワケイスケです。
 とういうワケでして。
 福井県には、福井弁という方言があります。ボクも福井弁を操ります。福井弁についてちょっぴり説明させてもらいますと、文字にすると「なんやそうなんけ」みたいなカンジで京都に近いこともありやや関西弁に似ているのですが、イントネーションが東北っぽかったりする独特な訛りです。福井を離れ、東京にやってきてからずいぶんとたちますが、今でも福井弁を使ったりもします。ただ、ですね!上京ほやほやのころはがんばって意識して福井弁を使わないようにしていた時期がありました。上京間もなく、東京の生活にもなれたつもりになり「ハハハ、オレもすっかりTokyo Cityに染められちまったゼ?」とかなんとかかんとかうっすら思っていたある日のことでした──
 高校の先輩で同じく福井から上京していた先輩に言われました。「今、使ったの、──福井弁やぞ」と。ボクがどや顔で標準語だと思いこんでいた言葉に福井弁が紛れ込んでいたんです。
 それは『しなっと』という単語でした。『しなーっと』とも。福井県民以外にはなんのこっちゃまったく意味不明だと思います。使用例としては「おえー、おめ、なにきのおしなっと帰ってんやっての」です。やんわり通訳しますと「ねえ、君はどうして昨日は何気ないうちに自宅へ帰ってしまったんだい?」です。『しなっと』つまり『何気なく』『なんとなく』だいたいそういう意味合いです。
 こっぱずかしさ全開。穴があったら入りたい。時間よ巻戻れ!とそのときは思いました。でも、今は福井の言葉が愛おしく、意識して福井弁を使ったりします。冒頭で今も福井弁を使うといいましたが、意識しないと出てこないこともあります。なんだか、それがとてもさみしくかんじます。あまり訛りのない地域のひとに「うちんとこは方言ないからうらやましい」なんて言われて、昔は「うーん」となっていましたが、今は方言を持っていることを、なんだ誇りにできています。みなさんは持っていますか?自分の標準語を。

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次号は第19回電撃小説大賞〈大賞〉作家の茜屋まつり先生が登場!

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