エッセイ

エッセイ「私の電撃体験」第3回

川原 礫

『アクセル・ワールド』にて第15回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞しデビュー。電撃文庫にて『アクセル・ワールド』シリーズと、『ソードアート・オンライン』シリーズを展開中!

私が初めてMMORPG、つまりオンライン型のロールプレイング・ゲームに触れたのは一九九九年頃のことでした。
 誘ってくれた友人と一緒にログインし、画面上のチャットであれこれレクチャーして貰い、連れ立ってモンスター狩りをするのは実に新鮮な体験だったんですが、そこに慣れてしまうと、MMOというのはつまるところ《ストーリーのないRPG》なんですよね。やることはひたすらレベル上げ(そのゲームは完全スキル制でしたが)とお金稼ぎ、という(笑)。それでも面白さは薄れず、最初の街の校外で罪もない牛さんや鹿さんをひたすら苛めていた、そんなある日のことでした。
 木立の奥からプラプラッと近づいてきた、地味な灰色ローブを着た見知らぬプレイヤーが、少し離れたところで呪文を唱えたのです。「???」と思う間もなく発射される攻撃魔法。ごっそり減る私のヒットポイント。よくよく見ると先方の名前が赤い。私は「おおおおお!?」とリアルに叫びました。心臓が口からびよーんと出て掌にぶわっと汗をかきつつとりあえず逃げようとしたものの、こっちは徒歩であっちは馬。数歩走ったところで次の呪文が命中し、画面中央に【You Are Dead】の文字が……。そう、そいつこそ、私が生まれて初めて遭遇したPK(プレイヤーキラー)だったのです。灰色になった画面をボーゼンと眺めながら、私は悟りました。これぞMMO也、と。その体験が、今の私の作品に共通する《ネットゲーム観》の一部を作っております。たぶん。
 ちなみに、PKが使った魔法は《ライトニング》でした。これがホントの電撃的体験……あっやめて。呪文唱えないで。

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次回は『ロウきゅーぶ!』の蒼山サグ先生が登場!!

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