エッセイ

エッセイ「私の電撃体験」第7回

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水瀬葉月

第10回電撃ゲーム小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞した『結界師のフーガ』でデビュー。現在はTVアニメ放送中の『C3 -シーキューブ-』を展開中。エロとグロを織り交ぜた作風でその配分により白水瀬、黒水瀬と呼びならわされている。

夏の夕日に照らされた布団と、その上に置かれた携帯電話の留守電の光です。
 これだけでは何かわかりませんね。まあ捻りも何もないのですが、私が最初にメディアワークスから連絡を受けたときのことです。当時私は大学生活最終年、最後の軽音部合宿に参加していました。毎年恒例、スタジオ設備があるホテルに百人近い全軽音部員が一週間ほど籠もって演奏奴隷と化すのです。で、その最終日──締めのイベントである発表会みたいなものが始まって、出番が30分後ぐらいに迫ったとき、ふと気付いたのですな。部屋に携帯電話を忘れた、と。そして部屋に戻って見えたのが一行目の光景です。
「初めまして。私、メディアワークスの●●と申しますが……作品が最終選考に……」
「おっしょぉぉぉおおおーいいいいい!」
 その瞬間、布団に携帯電話を叩きつけてさらに頭からダイブですよ! ジタバタジタバタ! みんながホールに集まっていて誰もいないのをいいことに思う存分の電撃的奇行!
 しかしここからが問題です。奇行の間に出番はもう10分後。誰かに話そうにも私が投稿してたのは周りの誰も知らない。夢でも見ているようなフワフワ気分。やる予定なのはドリームシアターの曲、正直激ムズです。とても片手間に弾けるようなものではありません。どうなるんだ俺ちゃんと弾けるのか頭全然回らないぜ最終選考残ったウハー、とフラフラしつつ仕方ないので夢うつつのままベースを持ってステージに上がったらですね。
 完全に頭は真っ白なのに、指が勝手に動くんですよ。いやマジで。今までの人生のどんな緊張したライブよりも心ここにあらずのコンフュ状態だったのに。これも電撃体験。
 つまり「練習は本当に裏切らない」ということだよ! だからいつAMWから電話がかかってきてもいいようによく練習しとくんだぞ、投稿中のバンドマン諸君! と、ものっそい限定的な方々への忠告みたいなもので終わっちゃうんですけどこれ大丈夫ですか。

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