エッセイ

エッセイ「私の電撃体験」第21回

夏海公司

『葉桜が来た夏』にて第14回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞しデビュー。最新シリーズ『なれる!SE』8巻は今月発売!!

忘れもしない中学二年の頃。塾の友人が「すげぇ音楽見つけた!」とウォークマンを差し出してきました。一体なんだと訊ねたところ「洋楽だ」という答え。全く自慢になりませんが当時の僕は掛け値なしのお子様で海外の音楽といえばビートルズと映画サントラくらいしか知りませんでした。なんかクラブや夜のラジオでしんみり流れている感じ? 自分でCDを買い趣味にするなど考えもしなかった頃です。難色を示す僕に、ですが友人は執拗に勧めてきました。いいから聴け、聴いたあとなら文句はいくらでも聞いてやると。
 仕方なくヘッドホンを受け取りました。再生ボタンを押し音量を上げて……頭を殴られたような衝撃を受けました。疾走するツーバス、抜けるようなハイトーンボーカル、ザクザクと刻まれる硬質なリフ、そして分厚いコーラス。全く聴いたことのない音の世界が耳元で広がっていました。HelloweenのEagle Fly Free──それがジャーマンメタルなるジャンルであることは暫くしてから知りました。とにかく同じような音楽を聴きたい、もっとこの世界に浸りたい、そう思った僕はレンタル屋から輸入CD店まで足繁く通い勉強そっちのけで深みにはまっていきました。NWOBHMからLAメタル、スラッシュにデス、果てはグラインドコアに至るまで。もちろん大学のサークルは軽音です。メンバーを集め、日々練習に励み、ライブを企画し、そして気づけば僕は──
 作家になってました。
 おかしいですね。どうにも一貫性のない人生を歩んでいるようです。ただIron MaidenやBlue Oyster Cultなど一部のHR/HMバンドはSF・ファンタジー・ホラー小説を下敷きに作曲するケースが多くそこから原典にあたり創作に興味を持っていった……ということはあるかもしれません。すみませんこじつけです。というわけでSFでもファンタジーでもホラーでも音楽モノでもないSE残酷物語、なれる!SE最新刊は今月発売です。皆様どうぞごひいきに。

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次号は『ジョシコーセーの成分。』のハセガワケイスケ先生が登場!

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