新作紹介

電撃文庫

カナエの星

  • 著者/高橋弥七郎
  • イラスト/いとうのいぢ
  • 定価/(本体530円+税)
  • 2014年8月9日発売
  • ISBN 978-4-04-891302-7

『灼眼のシャナ』コンビ、三年ぶりの新作!
学園伝奇アクション新シリーズ登場!!

 世界には二つの『未来』がある。『新たに見出す可能性』へと進むか――『誰知らず降りる破滅』に沈むか――。
 なんでも直感的に行動する少年・直会カナエ。とある相談を受け、古い校舎へと踏み入った彼は突如、謎の『星』へと飛ばされてしまう。そこで一人、待っていたのは『星平線のそよぎ』と名のる謎の少女。彼女は軽いノリで告げる。
「ズバリ、世界を救ってもらいます!!」
 カナエは、新たな可能性の象徴『半開きの目』に選ばれ、世界を破滅に導く『ハインの手先』を止めなければならない……らしい。
 同じ頃、彼を慕う少女・一条摩芙も、何かを感じ、悩み、決断していた。
「『あれ』が動き出したら……私も、やらなきゃいけなくなる」
 世界の『未来』を懸けた運命の戦いが今、始まる――!

カナエの星

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電撃文庫

カナエの星

『灼眼のシャナ』コンビ、三年ぶりの新作! 学園伝奇アクション新シリーズ登場!!

世界には二つの『未来』がある。『新たに見出す可能性』へと進むか――『誰知らず降りる破滅』に沈むか――。 なんでも直感的に行動する少年・直会カナエ。とある相談を受け、古い校舎へと踏み入った彼は突如、謎の『星』へと飛ばされてしまう。そこで一人、待っていたのは『星平線のそよぎ』と名のる謎の少女。彼女は軽いノリで告げる。 「ズバリ、世界を救ってもらいます!!」 カナエは、新たな可能性の象徴『半開きの目』に選ばれ、世界を破滅に導く『ハインの手先』を止めなければならない……らしい。 同じ頃、彼を慕う少女・一条摩芙も、何かを感じ、悩み、決断していた。「『あれ』が動き出したら……私も、やらなきゃいけなくなる」 世界の『未来』を懸けた運命の戦いが今、始まる――!

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『灼眼のシャナ』コンビ、三年ぶりの新作! 学園伝奇アクション新シリーズ登場!!

[キャラ紹介]

  • 直会カナエ(なおらい・かなえ)

    直会カナエ(なおらい・かなえ)

    「大丈夫、なんともないよ、摩芙」

    多柏学院(たかえがくいん)中等部二年生。思い立てばすぐ行動する危なっかしい少年。『星平線のそよぎ』が言うには、彼が世界を救う……らしい。

  • 一条摩芙(いちじょう・まふ)

    一条摩芙(いちじょう・まふ)

    「カナちゃん、危ないよ」

    多柏学院初等部五年生。大人しくて引っ込み思案な性格で、いつもカナエの傍に寄り添う、彼の妹的存在。自分の容姿が『子供っぽい』ことを気にしている。

  • 桧原里久(ひのはら・りく)

    桧原里久(ひのはら・りく)

    「まあ、絶好調で結構なことだ」

    多柏学院中等部二年生。カナエのクラスメイト兼、寮のルームメイト。冷静沈着で、カナエの突拍子のない行動にも動じず付き合う、貴重な友人。

  • 山辺手梓(やまのべ・たずさ)

    山辺手梓(やまのべ・たずさ)

    「一緒に、探して欲しいんだ。旧校舎のどこかにあるはずの――」

    多柏学院高等部二年生。この春から女子寮の寮長を務める優等生。男子より女子生徒の人気を集める学院屈指の有名人。無茶をするカナエをよく叱っている。

  • 橘樹 逢 (たちばな・あい)

    橘樹 逢 (たちばな・あい)

    「少しは後始末をする側の身にもなってほしい……」

    多柏学院中等部の社会科教師で、カナエと里久の担任。彼らの寮監も務めている。やや頼りないが、生徒の人気は高い。カナエが起こす騒動の後始末役。

  • 星平線(せいへいせん)のそよぎ

    星平線(せいへいせん)のそよぎ

    「ここは『キミが象(かたど)る星』だよ。まずはキミに課された目標だけ言っとこうかな。ズバリ、世界を救ってもらいます!!」

    カナエが迷い込んだ不思議な星で、彼を待っていた謎の少女。世界に迫る危機をカナエに伝え、彼の宿す『半開きの目』の力について指導する。天真爛漫なお調子者で、逆ギレ癖あり。

  • ハインの手先(てさき)

    ハインの手先(てさき)

    「あなたの望みは、叶わない。死像(トランジ)は、目覚めた」

    世界の破滅を目論む『友たるハイン』の命を受けて動く少女。『半開きの目』と相反する力、『半閉じの目』によって、人の奥底に眠る『運命の動力』を操り、未来を破滅へと導く。

<シーンダイジェスト>

「ええと……そよぎ、さん? なんなの、ここ」
そよぎも同じように見渡してから、ニッと笑いかけた。
「ここは『キミが象(かたど)る星』だよ。ま、今の段階で細かい説明しても分かってもらえないだろうし、まずはキミに課された目標だけ言っとこうかな」
「カサレタ、目標?」
「そう」
鸚鵡返しするカナエに、そよぎは勿体付けた溜めを作ってから、身を乗り出して叫ぶ。

「ズバリ、世界を救ってもらいます!!」

まったく、この星には本当になにもない。
不動無音の天地に沈黙したことで、カナエは自分の呼吸音を、初めて聞かされた――気がした。数秒してから、吐息ではない緩い返事を、もう一度。

「はあ」

   ◇   ◇   ◇

どこまでも広がる空虚な天地の間で、
「リアクション薄いよ!」
そよぎは座る球ごとガクッとこけるが、カナエとしては、
「そんなこと言われてもなあ」
というのが偽らざる感想である。
「世界を救うとか、夢なら馬鹿らしいし、現実なら無理でしょ」
「だーっ! なんでキミってば、そう見切りが早いかな!?」
そよぎは、自分の許を訪れた少年の性質が、段々と分かってきた。
カナエの方も、へんてこな内容の会話に慣れて、突っ込みを入れる。
「そっちこそ、その辺にいる平凡な少年に、どんだけでかいこと求めてるのさ」
少年の自己評価への異議はこの際措いて、
「だって、キミ」
そよぎは動かしようのない事実から攻めることにする。
「ここに来たってことは、見えたんでしょ――『半開きの目』が」
「……」
カナエは、彼女との会話で初めて心当たりを抱き、返事をし損なった。過去に見た現実の光景と、今見ている夢のようなそれが、ゆっくりと心理的な地続きになってゆく。
「……それって」
彼女の言うものが、ハッキリと分かる。
真っ白い扉の上部、覗き穴の場所に輝いている、紋章。
鈍角を下に向けた平べったい二等辺三角形と、中心にある多重の半円。
「あの、扉に光ってた?」
「そう」
頷くと、そよぎは掌を上向きに翻す。
そこから数センチ、宙に浮かび輝く紋章が現れた。
彼女の言ったもの、カナエが見たもの……これこそが『半開きの目』。
「これが見えた者にしか扉は開けられないし、星に来ることもできない。そしてなにより、相反する力である『半閉じの目』が見えないし、止めることもできない」
カナエは、話の中に混じった新たな名称に気を留め、
「……『半閉じの、目』って?」
どこか仄昏い予感を覚えさせられる、その響きを口にした。
やっと相手が取り合ってくれたことに気を良くしたそよぎは、紋章を握って消すや、少年に額を付き合わせるように顔を近づけて、告げる。予感通りの仄昏い声で。
「誰知らず降りる破滅の象徴、だよ」
んで、と付け加え、燃える瞳を瞳に合わせた。
「今より見出す可能性の象徴、こそ」
「……『半開きの目』?」
「そういうこと」
一転、ニッコリと朗らかな笑みを満面に表す。
「だんだん分かってきたかな?」
「さっきみたいな印が二種類ある、ってこと、くらいは」
「ケッコーケッコー」
曖昧な返事であっても、真面目に受け止めてもらえたことを、そよぎは喜ぶ。
「それじゃあ、さっき言った目標は覚えてる?」
問われて思い出したカナエは、しかし急速に、その真面目さを減衰させた。
「んー……世界を救う、ってやつ?」
一介の少年として、全く常識的に、その胡散臭い言葉を疑う。
そよぎはしかし、その一介の少年が持つ力を見込んで、恃む。
「やることは簡単だよ。まず、破滅の元凶である『半閉じの目』を宿した人間を、キミの『半開きの目』の力で見つけ出して欲しいの。二つは同じ形をしてるけど、今のキミなら簡単に見分けられるはず」
「破滅の元凶の……人間、なのか」
「うん」
先の仄昏さが、少女の朗らかな笑みの端を過ぎった。
「覚醒したキミの近くに、必ずいる。そいつは『半閉じの目』に誘われて、遠からず世界を破滅に導くよ。どんな些細な理由からでも、絶対に、ね」
「話はだいたい分かったつもりだけど」
その様に、カナエは背筋に冷たいものを感じつつも、すぐカクンと首を傾げる。
「いきなりそんな、でっかい話されてもなあ」
「ふーむ。後の説明は実際に『半閉じの目』を見つけてからにした方がいいのかなあ。うん、それがいい、そうしよう」
球の上で腕組みして深々と頷くそよぎに、カナエはまた、短く答える。
「はあ」
しかし、今度のこれは、適当な返事ではない。どうでもいい、という無頓着ではなく、どうすればいいのやら、という戸惑いの表れだった。

   ◇   ◇   ◇

「とにかく、『半閉じの目』探し、よろしく。お帰りは――あちら」
「っ!?」
胡座をかく自分の真下が振動し、驚いたカナエが見下ろすと、そこに大きく輝いている。
既になにと思うこともない『半開きの目』が。
強く見つめるように輝きを増したそれは、
不意な破裂音とともに、形を変える。
面白味さえ覚える、一つ印へと。
(バッテン?)
思うや、強く弾かれる予感……というより戦慄が、カナエの全身を貫く。
その印に込められた力が、実際に作用する寸前、
「君の覚醒に合わせて、『ハインの手先』も耽溺に入ると思うから、気を付けてね」
そよぎは気楽に付け加え、ヒラヒラ手を振った。
そうして見事に戦慄の通り、ガンッ、と強く弾かれて、
「!?   ああああああああああああああああああああああああああぁぁっ――    」
カナエが胡座のまま真上、青い虚空の彼方へと去ってから数秒の後、
手を翳して見送っていたそよぎは、ふと気付く。
「あ、名前訊くの忘れた」

   ◇   ◇   ◇

眼前、真っ白な扉がパッと消えた。
「――」
代わりに現れた板壁に、カナエは顔面を思い切りぶつけ、
「ふがっ!!」
その勢いのまま跳ね返り倒れ込む。あの星に行く寸前の状況に戻された、ということは本人には分かっていない。普段ならあり得ない不測の事態に翻弄されるだけである。
「直会!?」
山辺手梓は、いきなり異常な勢いで駆け出した(としか彼女には思えなかった)少年が、壁にぶつかって跳ね返り、倒れるのを見た――というより、倒れてくるのを見た。
「うわっ!?」
何とか受け止めようとするが、小柄とは言え人一人分、しかも勢いが付いている。
二人は絡み合い、階段の下に転げ落ちた。幸い、この階段は手前の階段ホールと奥の廊下の高さを調節するためのもので、段数も少ない。ともに大した痛みや怪我はなかった。
「ぅう……」
カナエは自分の身になにが起きたのか、未だ把握できないまま床に蹲って、呻き声を漏らす。いつもなら危険を躱す既の道も、それが見えなかったあの星から戻って突然のことで、辿ることができなかった。僅かな落下とは言え、床が柔らかかったのは不幸中の幸いだった。
「……?」
鷲掴みにして顔を埋められる床など、あるものだろうか。まあ、実際あるんだからしようがない。壁にぶつけた痛みを、しばらくこの柔らかい床で癒やそうとして、
「あっ」
「……」
その床と、目が合った。
正確には、床だと思っていた手梓と、目が合った。
詳細に述べると、直会カナエは、床だと思って鷲掴みした豊かな胸に顔を埋めて、その胸の持ち主である山辺手梓と、互いの吐息もかかるほどの至近距離で、目が合った。
「お久しぶり、です」
「……」
カナエは自分の時間感覚で率直に挨拶したが、手梓は答えない。打ち所が悪かったのかも知れない、と思って、離れるより先に、やはり率直に感想を述べてみる。
「柔らかくて助かりました」
「……ぬ」
手梓はようやく口を開き、
「ぬ?」
「りゃああああああああ!!」
カナエの襟首を両手で掴み、片膝を互いの体の隙間にねじ込んで、一気に跳ね上げた。
巴投げである。
綺麗な半円を宙に、壮絶な勢いで描いて、カナエは手梓と脳天を合わせる位置へと叩き付けられた。今度の床は柔らかくない。一度跳ね上がるほどの衝撃に、息が詰まって星が飛ぶ。
「ご、はっ」
「お、おまえはなんで、そう、やることなすこと――!!」
自身も息を弾ませながら糾弾しようとした手梓が、声を切った。
「?」
痺れる体で最低限、顎を上げる動きで相手の様子を窺おうとしたカナエは、彼女と同じく、落ちた短い階段の上に立つ人影を認めた。大きいものと、小さいものの、二つ。
大きいものは、言うまでもなく桧原里久で、
「おまえはなんで、よりにもよってこういうときに……」
額に手を当てて、手梓と似たような文句を溜め息ついでに零していた。
小さいものは、これまた言うまでもなく一条摩芙で、
「カナちゃんの」
絡んでいた二人を見て、真っ赤な頬っぺを破裂しそうなほどに膨らませている。
「カナちゃんの馬鹿――!!」
全く妥当な非難が、夕暮れの廊下に響き渡った。


★続きは本編で!

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