新作紹介

電撃文庫

安達としまむら

  • 著者/入間人間
  • イラスト/のん
  • 定価/(本体530円+税)
  • 2013年3月10日発売
  • ISBN 978-4-04-891421-5

 体育館の二階。ここが私たちのお決まりの場所だ。今は授業中。当然、こんなとこで授業なんかやっていない。
 ここで、私としまむらは友達になった。好きなテレビ番組や料理のことを話したり、たまに卓球したり。友情なんてものを育んだ。
 頭を壁に当てたまま、私は小さく息を吐く。
 なんだろうこの気持ち。昨日、しまむらとキスをする夢を見た。
 別に私はそういうあれじゃないのだ。しまむらだってきっと違う。念を押すようだけど、私はそういうあれじゃない。
 ただ、しまむらが友達という言葉を聞いて、私を最初に思い浮かべてほしい。ただ、それだけ。

安達としまむら

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電撃文庫

安達としまむら

のんびり日常を過ごす、女子高生な安達としまむら。その関係が、少しだけ変わる日。

体育館の二階。ここが私たちのお決まりの場所だ。今は授業中。当然、こんなとこで授業なんかやっていない。 ここで、私としまむらは友達になった。好きなテレビ番組や料理のことを話したり、たまに卓球したり。友情なんてものを育んだ。 頭を壁に当てたまま、私は小さく息を吐く。 なんだろうこの気持ち。昨日、しまむらとキスをする夢を見た。 別に私はそういうあれじゃないのだ。しまむらだってきっと違う。念を押すようだけど、私はそういうあれじゃない。 ただ、しまむらが友達という言葉を聞いて、私を最初に思い浮かべてほしい。ただ、それだけ。

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キャラクター紹介

  • 安達

    安達

    サボり女子高生その2。ほっそりした体型で、出っ張りが少ない。最近、よからぬ想いを巡らせるようになってしまい苦悶中。

  • しまむら

    しまむら

    サボり女子高生その1。栗色に髪を染めている。ちょっと天然気味な女の子。化粧も安達より時間をかけているが、安達の方が美人だと思っている。

安達としまむら。二人の女子高生の日常をほんの少しだけご紹介

「あの、しまむら」
「んー?」
しまむらはテレビに向いたままだ。そしてソックスを脱いでいる。
ソックスがぽーんと、布団の外に投げ出されるのを見守ってから、言ってみた。
胃を引き締めながら。言うな言うな、と思いながら。
「あの、座ってもいいかなーって。しまむらの、足の、間とか」
なにを言っているんだ私は。これじゃあ完全に変なやつがぼそぼそ変なこと言っている、
「え? いいけど」
いいのかよ。……あれ? あれ、あれ? これは私の見ている夢だろうか。
こっちが驚くほどあっさりと受け入れてしまう。足を開いても、しまむらは特に表情を変えない。いいのか、いいのかと思いながら、そろそろと足の間に収まって座り込んだ。
俯くとしまむらの両足が見える。うわぁ、うわぁと目が回り出した。
すぐに寄りかかることはできなくて、体育座りで固まったまま微妙な隙間を作る。腰で上半身を支える形になって負荷がかかり、すぐに痛くなってくる。身体が小刻みに震えだしたあたりで、しまむらから声がかかった。
「なにしてんの?」
「いやだって」
私の言葉にならない困惑を受けて、しまむらが怪訝な顔をする。
「ん? 妹がこういう座り方してくるし、これって普通じゃないの?」
しまむらの中では、妹と私は同じくらいの扱われ方なんだろうか。
それが良いのか悪いのか、判断がつかない。とにかく熱いものがこみ上げている。
「ふ、普通だけどさ」
そう言わないとお尻でも蹴っ飛ばされて部屋の端まで転がりそうだったので、嘘をついた。
無知につけこんでいる、のだろうか。実は結構普通? そうなの? 分からない。
振り向いたらしまむらの顔が側にある。想像するだけで耳が熱くなるのを感じた。いやそれはおかしい。変に意識しすぎている。テレビの音がまったく耳に入らない。というか耳が熱すぎる。段々と痛く感じられてくるぐらい。後ろのしまむらも気づいているのだろうか。
「おりゃ」
「わっ」
しまむらが私の肩を掴んで引き寄せてきた。かくんと身体がずれて、しまむらに傾く。窮屈な姿勢が不自然と感じたからだろう。しかしそれは不意打ちすぎて、溺れるようだった。腕を振り回しながらしまむらに寄りかかる。しまむらの方が小柄なはずなのに、すっぽりと収まってしまう。本当に、しまむらの妹になったみたいだった。すぐ後ろどころか頭の上にしまむらがいる。しまむらは特に思うところもなさそうに、平坦な顔つきで私を見下ろしていた。
背筋を少し伸ばすと、しまむらはまた後ろに隠れた。「む」としまむらが背の高さに憤っている声が聞こえる。こっちは背中を寄り添わせている事実に、手足の力が抜けた。
足を布団の上に伸ばして、息を吐く。夢と現実の輪郭が重なっていることに、目眩がした。立てた膝を抱えながら、背中でしまむらの存在を感じる。しまむらは、薄い壁の向こうにいた。
その壁は背中といって、取り除くことはどうしてもできない。
「彼氏とか、いる?」
自然と口がついばむように動く。聞かずにはいられないって感じだった。
振り返ればこのあたりから、自分が自動的な人間になってきていたと思う。
「いると思う?」
意地悪な返し方だった。しまむらに他意がなくても、唸りそうになってしまう。
「いない」
「うん正解。ていうかこの間いないって言ったけど」
「……そうだった?」
そんなことを思い出せるほど頭が働いていない。
「安達こそいないの?」
「いない」
同じ言葉で否定する。「そうなんだ」としまむらは特に気のない反応だった。
聞かれたから、聞き返してみた。それだけなんだろう、きっと。しまむらは大抵そうだ。急になんでそんなことを聞いたんだろう、と疑問に思ったとしても自分なりに答えを出してしまい、私と深く話し込むことはない。しまむらは無理に私と話そうとしないのだ。
バランスの悪い定規が間にあって、センチメートルの測り方もバラバラで、私たちはどちらがどう動いてもその距離が埋まらないような、そんな関係がずっと続くのだろうと思った。
思うと途端、少しだけ振り向く。そうすると、しまむらが目の前に出てきた。
夢と同じ距離だった。しまむらと間近で、ジッと、目が合う。
「なに?」

〜このつづきは本編で〜

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