新作紹介

電撃文庫

愛するムスメからの教育的指導

  • 著者/相生生音
  • イラスト/hika
  • 定価/(本体610円+税)
  • 2013年5月10日発売
  • ISBN 978-4-04-891603-5

 「お父様の夜の生活を更生させていただきます」
 僕の家に不法侵入して最愛のゲームコレクションを綺麗さっぱり処分してしまった美少女が、突然そんなことを言いだした。彼女は未来から来た僕の“娘”で、衰亡の危機にある未来の地球を救うのだという。でもそのための手段はなぜか僕の性癖の監督で――!?
 突然始まった同い年の“娘”がいる日常に振り回される、少し不思議なホームコメディ開幕。

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キャラクター紹介

  • 違正樹未蕾【いまさき・みらい】

    違正樹未蕾【いまさき・みらい】

    「私は、未来から来た、ということです」
    未来から来た現菜の“娘”

  • ハル【HAL−2001/TypeMAID/3rdCustom/Ver.9000】

    ハル【HAL−2001/TypeMAID/3rdCustom/Ver.9000】

    「うふふふ、ワタシもパパと呼んでもいいですか?」
    未蕾が持つ端末のコンシェルジュ

  • 違正樹現菜【いまさき・げんざい】

    違正樹現菜【いまさき・げんざい】

    「…どうやら、未蕾の言うことを認めるしかないみたいだ」
    ごく平凡な学生にして未蕾の“父”

  • 四季瞥遊二【しきべつ・ゆに】

    四季瞥遊二【しきべつ・ゆに】

    「そういう話をセンパイの前でするなって言ってるだろ!」
    現菜になついているかわいい“後輩”

  • 否良思惟乃【いやら・しいの】

    否良思惟乃【いやら・しいの】

    「お詫びのしるしにコレ、サッキーにあげたるわ!」
    現菜の趣味の“師匠”

読みどころチェック!

 

「おはようございます」
 夢と現が混在し意識と無意識が混濁する静寂の凪、そこに音が落ちる。
 音は世界の表層に波紋を作り、そのささやかな振動は反射という形で曖昧模糊としていた彼我の境界を浮き彫りにしていく。それに伴い、バラバラのジグソーパズルを手探りで埋めていくように自己の輪郭を感覚が鎧い、その刺激への反応として、『僕』が緩やかに浮上していく。
「そろそろお目覚めになってください。外はいい天気ですよ」
 音に続き光が、安寧の一隅を担う暗闇から僕を追い出そうと視界を灼く。その容赦のない純白の火炙りから逃げるために、懐に蟠る温かな暗がりに向かってもぞもぞと移動する。
「起きてくださいと言っているのに、なぜ布団に潜られるのですか」
 いかなる音も、僕を匿う厚みの前には減耗を禁じえない。穏やかになった聴覚は、取り戻した視覚の安らぎとより強固になった触覚の和みと手を取り、再び原初のまどろみへと僕を導く。
 しかし、それは始まりの零地点へとたどり着く前に、破られた。
「…………失礼しますっ」
 今度は、僕がたゆたう世界もろとも奪い去られた。上半身の皮を剥がれたような刺激的な冷たさが襲い、一秒前の落差から寝耳に直接冷や水を流しこまれたような乱暴さが打ちのめす。
 無理矢理に半覚醒を強いられると、そうでなかったときよりも自分が身を置いていた場所が貴重なものだということが骨身に染みて理解でき、意志を持った動きで別離を拒否してしまう。
 自分を囲う質量を求めて指先が宙をかき、無駄とわかった腕はそのまま瞼の上で蓋となった。
「これでも起きられないとは、見上げたものというべきですね、まったく。…………そ、それにしても、こうしてじっくりと見ると、やはりお若いですがお父様です。お顔立ちもほとんど変わらず、無防備な寝顔なんてそのまま…………、い、いけません、私は起こしに来たのです」
 グラグラと世界が、天が啼き地が吼えるがごとく震える。
 その執拗な振動の前に、ついに頑強な睡魔の砦も落城の瀬戸際に追い込まれていた。
「起きてください、…………お、お寝坊さんな王子様はキスで起こしますよ、なんて――」
「う、…………ん? …………なに? …………あさ? …………なう?」
「ぎみゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 絹を引き裂くというか耳を劈くような悲鳴が、眠気で茹だった脳味噌にねじ込まれた。
 極太の音の棍棒に唐竹されて、今度こそようやくに意識のチューンが此岸にジャストする。
「――――なっ、なんだあっ!?」
 飛び起きた鼻先には、見知らぬ少女の顔が引きつった笑みと真っ赤な色で彩られている。
 寝覚めに直面したわけのわからぬ光景に一瞬硬直し、そのわずかで浚った記憶が一致した。
 そこまでを最優先で思い出したところで現状把握にと周囲へ首を巡らせば、眩く差し込む朝日に照らし出されているのは見慣れた(正確に言えば大きく違うけれども)僕の部屋だ。
 どうやら推察するに、未蕾は僕を起こしにきた…………んだろう、たぶん。でも。
「なっ、なぜ起きられるのですかっ」
「…………いや、起こしに来たんじゃないのか?」
「そっ、そうですっ、起こしに来たのですっ、ですがなぜ今起きられるのですかっ」
「…………ご不満なら僕は寝るけれど。まだ眠いし。大体今何時だよ。うわ八時半?」
 ここ一年ほど休日の寝ぼけ眼ではお目にかかったことのない針の位置だ。
「…………ヤバい。寝よう。おやすみなさい」
「駄目です、あんな恥ずかしい思いをしてまで起こしたのですから起きてくださいっ」

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