新作紹介

電撃文庫

読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから

  • 著者/岬 鷺宮
  • イラスト/Hiten
  • 定価/(本体610円+税)
  • 2017年4月8日発売
  • ISBN 978-4-04-892603-4

――だから、わたしの初恋はエピローグのあとに始まるのです。

 この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば――
 だが、彼女は俺の前に現れた。
 灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。
 不器用に近づいていく二人の距離。
 物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末にあるものは――。

読者と主人公と二人のこれから

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電撃文庫

読者と主人公と二人のこれから

――だから、わたしの初恋はエピローグのあとに始まるのです。

この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば―― だが、彼女は俺の前に現れた。灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。不器用に近づいていく二人の距離。物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末にあるものは――。

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キャラクター

  • 細野晃(ほそのあきら)

    細野晃(ほそのあきら)

    高校生になったら誰とも友達にはならない、愛する小説『十四歳』だけを手に、孤独に生きていこうと決めている少年。

  • 柊時子(ひいらぎときこ)

    柊時子(ひいらぎときこ)

    晃の持つ『十四歳』の主人公、トキコに瓜二つの少女。なぜ、小説の中にいたはずの女の子が現れたのか。そこにはある秘密があり――。

その日、「読者(ぼく)」と「主人公(かのじょ)」は出逢ってしまった――


 この教室で友達を作るつもりはないし、この小説があれば。トキコさえいれば、決して退屈なんてするはずがない。
 そんな風に、本気で思っていた。
 だから、
「――柊時子です」
 出席番号、俺の一つ前。
 トキコと同じ名前だな、なんて思いながら壇上に視線をやった俺は、時が止まったような錯覚を覚えた。
「――松庵中学出身、趣味は読書です。姉が一人います。中学では文芸部に入っていました」
 物憂げに教卓に落とされている、黒目がちで切れ長の目。
 ボブヘアーの黒髪と、この距離でも長さが見て取れるまつげ。
 すらりとした体躯におろしたてのブレザーがなじみきっていなくて、白磁のような肌にはシミ一つなくて、細い首筋は繊細なガラス細工のようで、
 思わず、手の中の「一四歳」の表紙を見た。
 ――そっくりだった。
 描かれている少女のイラストと目の前の女生徒が、同一人物かと思うほどに似通っていた。
 それだけじゃない。視線を壇上に戻す。端正な顔に似合うエメラルドグリーンの髪飾り。鈴を転がすような透き通った声。視線を落とし背筋を伸ばした佇まい――。
 本文中、トキコ自身に関する記述がフラッシュバックする。

 ――もらった翡翠の髪飾りは、昭和初期に作られたものらしい。どこのブランドでも売っていない、わたしだけの宝物。

 ――凛とした綺麗な声だ。そう褒められても、わたしはもっと違う声に憧れる。低い声、かすれた声、しわがれた声。そういうものにはきっとその人が送ってきた人生が刻まれている。

 ――教室で、クラス全員の前に立つ。前なんて見られない。だからせめて、わたしは背筋を伸ばして、向けられる視線の集中砲火にじっと耐える。

 さらに、苗字は「一四歳」作者と同じ柊。考えてみれば、小説の中のトキコにも姉がいたはずで、所属していた部活も文芸部で……。
 いや、細かいことはどうでもいい。
 それ以上に、柊時子が放つ静かな気配が――どこか気高く寂しげなオーラが、頭の中でイメージしてきたトキコそのもので。
 理性だとか理屈だとかそういうものを飛び越えて、俺ははっきり感じていた。

 ――トキコだ。トキコがいる。
 ――小説の中の彼女が、俺の目の前に現れた。

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