新作紹介

電撃文庫

東京ダンジョンスフィア

  • 著者/奈坂秋吾
  • イラスト/柴乃櫂人
  • 定価/(本体630円+税)
  • 2017年1月10日発売
  • ISBN 978-4-04-892617-1

VR技術の暴走でダンジョンが発生!
創造主の脳内世界を攻略せよ!

 最新のVR技術が暴走し、使用者の脳内世界がダンジョンに! そのダンジョン攻略を行う『冒険者ギルド』に、高給&様々な特典が目当てで、軽い気持ちで入隊した赤峰光。しかし、入隊後すぐに突入したダンジョンでは右も左も分からず、武器の具現化にも苦労して遅れを取るハメに。
 パーティーを組むのは、長剣と氷を操る蒼倉、精霊を杖で使役する桜白、スナイパーライフルを使いこなす緑の三人。リーダーに指名され、何か深刻な事情を抱えているメンバーたちと攻略に挑む赤峰は、仲間と協力してダンジョンの秘密を解き明かす!

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登場人物


  • 赤峰 光(あかみね こう)

    赤峰 光(あかみね こう)

    家計を助けるために「冒険者ギルド」に入隊し、ダンジョン攻略に挑む高校生。教官の熊谷からパーティーのリーダーに指名され、個性的なメンバーを取りまとめるのに一苦労。

  • 桜白 香花(おしろ きょうか)

    桜白 香花(おしろ きょうか)

    お嬢様学校に通う、見た目も中身も上品な女子高生。危険なダンジョン攻略に挑むのには、ある理由が……。杖で魔法を使い敵を倒すだけでなく、様々なギミックの攻略にも力を発揮する。

  • 緑(みどり)

    緑(みどり)

    明るくボーイッシュで、小柄ながらスナイパーライフルを操るムードメーカーの少女。メンバーたちにも本名を名乗らず、性格とは裏腹に、何か他人には話せない事情を抱えている様子。

  • 蒼倉 霜夜(あおくら そうや)

    蒼倉 霜夜(あおくら そうや)

    内向的な性格で、ロングソードと氷を組み合わせて戦う。ダンジョン攻略に全てを懸けているような雰囲気で、仲間より攻略を優先することも。しかし、ピンチの場面では頼りになる存在。

【あらすじ】

 最新のVR装置が暴走し、使用者の脳内世界がダンジョンを創造した時代。国は「冒険者ギルド」を組織し、ダンジョンの攻略にあたっていた。

 危険が伴うダンジョンの攻略だが、高額な報酬や様々な特典を目当てに、軽い気持ちで冒険者ギルドに入隊した高校生の赤峰光。しかし、始めて突入したダンジョンでは武器の具現化に戸惑い、強力な敵の群れに苦戦を強いられるのだった。

 パーティーを組む桜白香花、緑、蒼倉霜夜たちは、何か他人には話せないような事情を抱えた様子で、リーダーに指名された赤峰はチームをまとめるに一苦労。

 ダンジョンの奥に潜む創造主を見つけるため、パーティーメンバーと協力してダンジョン攻略に挑む!

【著者書き下ろしストーリー!】

第一・五話 幕間劇

 

 初めての冒険から二日後、赤峰たち四人は教官である熊谷(くまがい)に呼び出され、三鷹に来ていた。
 『シティアイランド上連雀』というマンションの五○六号室に上がり、居間に鎮座する虹色の球体――通称『ダンジョン』の中に潜入すると、そこは十字架が立ち並ぶ墓場(セメタリー)だった。
「さて、今日は集中的に戦闘訓練を行う。不気味なダンジョンだが、気を強く持って臨めよ」
 熊谷はそう言うのだが、赤峰(あかみね)は周囲を見回して眉をひそめた。
「不気味っちゃあ不気味ですけど、あれとかあれのせいでその雰囲気も台ナシっすね」
 赤峰たちの周囲をシルバーアクセサリで身を装ったガイコツ姿のエネミー、『スケルトン』が駆け回っており、追い掛け回している他の冒険者たちが「あっち行ったぞ!」「追え! 逃がすな!」「全部引っぺがせ! 売れば大金だぞ!」と声を張り上げている。
 また別の方角では、「ヘイヨー! オレの歌を聴いテくレー!」と叫ぶ『ゾンビ』たちが祭壇の上でギターを掻き鳴らしており、「うるせー!」「早く倒せ! 耳がぁぁ!」と近くにいた冒険者たちが阿鼻叫喚の様相を呈していた。
「このダンジョンの創造主はヘビメタ好きのバンドマンでな」と熊谷が言う。「いつもガイコツのマスクを被ったり、ゾンビの仮装をして演奏していたそうだ。それが影響してB級ホラー映画みたいな世界になってんだろう」
 熊谷のその説明を聞き、赤峰の隣に立つセミロングの少女――桜白(おしろ)はほっと息を吐いた。
「良かったわ、こういう愉快な世界で。私、ホラーとか怖いのは苦手だから」
「いや桜白、俺たちもっと怖い思いしてるだろう……ミノタウロスに追っかけられたりさあ」
 赤峰がそう言うと、「確かにそうだよね」と桜白のすぐ傍に立っていた小柄の少女――緑(みどり)が苦笑を浮かべて言った
「でも、狙われてたの赤峰だったわけだし、わたしたちはあんまり緊張感なかったんだよね」
 同意を求める緑の視線を受け、目つきの鋭い少年――蒼倉(あおくら)は肩を竦めてみせる。
「それに、いざとなれば戦うことも出来た。俺たちには武器があったからな」
 蒼倉が目の前に手をかざすと、手の中に光が生まれた。
 その光は細長く形を変え、ぱっと消え去ると、現れたのは銀色に輝くロングソードだった。
 続けて、桜白と緑もそれぞれ自分の手の中に武器を出現させる。桜白は杖、緑はスナイパーライフルである。
「しっかしお前らの武器、凝ってるよなぁ。ダンジョンの中なら想像したものを自由に創れるっていっても、そんな簡単に出来るもんなのか?」
 赤峰も武器を出現させてみるのだが、現れたのはぐにゃぐにゃと歪んだ不恰好な剣だった。
「何て言うか、ワカメみたいだね」
「言うな、緑……くそー前回より酷くなってんな。戦えねえぞ、これじゃ……」
 困っていると、「馴染み深い物なら上手に創りやすいんじゃないかしら」と桜白がアドバイスしてくれた。
「なるほどな。ちゃんとイメージ出来て創り出せそうなものは……」
 少し考えた後、手をかざす。
 そして創り出したのは、居酒屋でバイトしていた時に使っていた出刃包丁だった。
「おっ、上手く出来た! 切れ味も……悪くなさそうだな。よっし、とりあえずこれでやってみるか。じゃあ教官、さっそく訓練始めましょう」
 そして赤峰は、蒼倉、桜白、緑とともに包丁を構えた。
 だが、現実感のあるその武器のせいで赤峰一人だけが浮いてしまっている。
「すまん、ちょっと待ってくれ。出刃包丁って……俺一人だけすげえカッコ悪くない?」
「そ、そんなことないわよ。ね? 緑ちゃん」
「いやぁ、ダサいよ。かわいそうなほど」
「ええっ、そんなに!? ちょっと待ってろ! 他の考えてみる!」
 頭を絞って他の三人と並んでも違和感がなく、様になりそうな物を考えるのだが、なかなか思い浮かばない。
 そうしているうちに、「……馬鹿馬鹿しい。構っていられるか」と蒼倉は吐き捨てるように言ってエネミーの方へと駆け出していく。「あっ、どうしよう、緑ちゃん」「わたしたちも行こう」と女子二人も去って行き、「おいお前ら、勝手に行動するな! 赤峰、ついて来い!」と言って熊谷まで行ってしまうのだが、集中のあまり赤峰は気づかない。
(冒険者、続けるって決めたんだ……こんなところで躓いてられるか!)
 などと決意を燃え上がらせながら思考を巡らし続けていると、肩を突(つつ)かれる。
「もうちょっとで思いつきそうなんだ。だからもう少し待って――」
 振り返ると、そこにいたのは『スケルトン』。一体ではなく十数体。
 ふと見回してみれば、仲間たちの姿はない。
 青ざめた赤峰は、「あーっと、人違いでした、ははっ」と愛想笑いを浮かべてみた。
 当然、『スケルトン』たちは無反応。しかし、殺気だけは膨れ上がる。
 これはまずい、と思った赤峰は踵を返して駆け出した。
「だーっ! こっち来んじゃねえ!! みんなどこ行っちまったんだよ!? 一人にしないでくれぇぇ!!」
 情けない声を出で逃げ惑う赤峰は心の中で思った。
 どんなに覚悟を決めても、この仕事を続けるのは難しいかもしれない、と。

 

 だが、彼が仲間たちを導いていく真の冒険者となるのは、そう遠くない未来の話である。

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