【confidential】秘匿回線【storage A51】
バンシー>だから言ったじゃないですか。人間は合理や効率だけでは納得しないって。
リリス>分かっていた。うん、分かっていたんだけどねえ。
バンシー>そんなにショックだったんですか。ご子息に言われた事が。
リリス>衝撃は受けた。でも心地いい。
バンシー>?
リリス>やりすぎだ、って言ったのよ、あの子。ふっふふ! 誰だってそう思ってるのに乗船チケット欲しさに誰も言えなかった事を、こうもあっさりと!! こんな衝撃が他にあると思って? エアフォースワンのスペックに嘆いて私達にすがってきたホワイトハウスの世帯主さんだってできなかった事が、まさか建売住宅のダイニングで起きるだなんて!!
バンシー>親バカ……じゃないな。これはもっと邪悪な何かを感じます。
リリス>この私のやってる事は圧倒的に正しい。だけど、正しいが故に、面と向かってあそこまで反論してくれる人なんかいなかった。そう、04を任せていたあなたでもね。
バンシー>私にそこまで期待しないでください。ただの泣き虫女ですよ。
リリス>それはあの子も同じだわ。だけど、サトリはそれでも私を叱ってくれた。自分の胸にある正しい義を信じてね。
バンシー>うわあ。
リリス>うふふ。私だって分かっているのは正しいだけで、本当に邁進すべき価値があるかどうかは知りようがないんだもの。サトリという反論材料は常に私の心を揺さぶり、本当にこれを為すべきか、同じ結果を別の方法で導き出せないか。再考に再考を重ねる良い刺激になる。これ以上の成果が他にあるかしら?
バンシー>うーん。やっぱりあなたは悪魔ですねえ。たとえ人の親になっても。
リリス>当たり前じゃない。だけど大魔王を倒すための道筋が、人を大きく成長させる事だってあるのよ?
バンシー>そしてめんどくさい大冒険的教育者でござった。……でもさあ。
リリス>何よ?
バンシー>こんな時くらい素直に泣いたらどうなんです、くっだらねえ。
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リリス>ひっく、うええ……。