【Self Record】カラミティ【Leviathan's Report】



 なるほど。

 所詮は人造、神の作品でない以上はこの永劫もまた仮初めか。

 言われてみれば、だ。あのリリスがあそこまで脅えたという事は、即席の迷いの海に引きこもった程度でやり過ごせるはずもあるまい。いざ始まれば、ここもまとめて沈むのだな。

 認識を改めねばなるまい。

 あれは、海の底に潜った程度で何とかなるものではなかった。私は最初から間違えていたのだ。リリスが私の組織と事を構えなかったのは、実際にカラミティが起きれば安全地帯にいると信じ切った我々など黙っていても勝手に吹き飛ぶと確信していたからか。アリとキリギリスの話で勤勉に準備を進める者が怠け者を見るように。

 ……ああ、思い出して久しぶりに嫉妬が疼く。

 ヤツはどこまでいっても眩しくて、私の持っていないものを見せびらかす。ある意味では怠惰に、我らの情など考慮もせずに。



 さて、災厄とは何ぞや。

 何もないこの世界では、差し迫った命の危機こそが最大の贅沢だ。ここは別のステージから誰にも邪魔されずにじっくりと観察し、思考させてもらうとしよう。