あとがき
という訳で吸血鬼ゾンビも六作目となりました。
鎌池和馬です。
今回は特定のアークエネミーよりも主人公のサトリと彼が作り出した災害環境シミュレータ・マクスウェルに軸足を置いてみました。なので戦うフィールドもこれまでとは違った形のパニックものになっていたはず。
そして一作目からの謎となっていたダムの底の秘密に真正面から切り込み、ついにアブソリュートノアそのものへ乗り込む事になります。
サトリの二人の母については主に三作目で大きく取り上げましたが、今回大きな柱として登場するのが父親です。タオリとユリナは物理的な意味で規格外でしたので、こちらは敢えて頭脳派のまま個性を際立たせてみる事にしました。スパコンやビッグデータばかりがちやほやされる時代ですけど、そもそも人の頭だってまだまだ未知の部分は多いはず。コンピュータ頼みのサトリとは違ったインテリジェンスを見せる事で、知能とは何ぞや? というテーマを匂わせたかったりもしました。人も機械も、上手に住み分けできれば良いんですけどね。
イメージイラストの真早さんと担当の三木さん、阿南さん、小野寺さんには感謝を。キャラクターよりシチュエーション重視のパニック系ですが、そんな中で人物が際立って映えるのは設定ラフやイラストによる補助が非常に強いと思っています。今回もありがとうございました。
そして読者の皆さんにも感謝を。サトリがすごいのではなく、サトリの作ったマクスウェルがすごいからサトリもすごい、というやや変則的な辺りがポイントなのですがいかがでしたでしょうか。最大最悪の敵対者が唯一認める存在だから主人公はすごい、のブラッドサインとは似て非なる構造ですが、こういう楽しみ方も受け入れていただけましたらと願っております。
では、今回はこの辺りで。
そろそろ供饗市という『場所』にも慣れ親しんでいただけましたでしょうか 鎌池和馬