【crucial notice】VR商戦の企業パンフレット【on the pinup board】



 今でこそ睡眠時の夢で取り扱う脳の余剰活動を応用する規格が主流となりましたが、かつてVR黎明期には様々な方式がしのぎを削っていました。

 皆様の記憶にも新しいのは光の点滅とデジャブ領域とを組み合わせたゴーグル式、頭部全体を任意で温めたり冷やしたりする事で活動領域を細かくコントロールするヘルメット式、匂いのカクテル粒子を利用して海馬を刺激するマスク式などではないでしょうか。

 では、これら精密機械工業の結晶と呼べる品々は、実は様々な分野からインスピレーションを受け取っていた事はご存知でしょうか。

 北米ネイティブインディアンにおけるドリームキャッチャー。古代ギリシャの巫女が神託を授かったディオニュソスの祭祀。北欧圏におけるセイズのトランス儀礼。古代中国に伝わる反魂香。近代西洋魔術におけるアストラル旅行やテレスマティックイメージ。専門的な話でなくとも、化かす、という言葉であれば我々日本人には馴染み深く聞こえませんでしょうか。

 能動的に夢や幻を見る、あるいはコントロールする技術については古来から様々な試みが繰り返されており、さながら蜘蛛の糸の構造から新たな防弾ジャケットを生み出すように温故知新の精神で……