STORY 物語
優れた魔導師でありながら無学位のアインは、孤児の少女・シャノンを引き取る。彼女を魔導師として大成させる――それはアインが進めている研究を継続するための条件だった。しかし転属により新たな上役となった男に、無学位を理由として魔法省を解雇されてしまう。 途方に暮れ、シャノンの処遇に悩むアイン。しかし彼女と暮らし、絆を育む中で閃きをつかんだアインは、ついに魔法史を揺るがす研究を完成させる。翌日の号外が街を騒がせる中、逃がした魚の大きさにようやく気付いた魔法省は、新魔法の権利を強奪しようと暗躍するが――? 『魔王学院』著者が贈る痛快魔法学ファンタジー!!
CHARACTER 登場人物
アイン・シュベルト
優れた能力を持ちながら「学位がない」という理由で冷遇を受ける一級魔導師。
史上十三番目の基幹魔法《歯車大系》の実現を目指して研究に明け暮れている。
シャノン
アインが養女として孤児院から引き取った少女。
魔法の才能があり、彼女を魔導師として育て上げることが、アインが魔法省で研究を続ける条件だった。
ギーチェ・バルモンド
聖軍総督直属の実験部隊「黒竜」隊長。
元々は魔導師を志しており、アインとはアンデルデズン魔導学院の元学友である。
アナスタシア・レールヘイヴ
《六智聖》の一人【鉱聖】アウグスト・レールヘイヴの一人娘で、【石姫】の二つ名を持つ。
シャノンとはアンデルデズン魔導学院幼等部でのクラスメイト同士。
WORD 用語辞典
魔導師
日々、新たな魔法を生み出すための研究を行う者たち。彼ら研究者に対して、魔法を使うだけの者を《魔術士》と呼ぶ。
基幹魔法
魔法の基礎を形作る十二の魔法。この世のすべての魔法はこれら基幹魔法を基に開発され、体系化されている。
十二賢聖偉人
基幹魔法を作った、魔法史上でも特に重要な十二人の魔法使い。最後の賢聖偉人が現れてからおよそ七百年が経っている。
六智聖
十二賢聖偉人に次ぐ、現代において事実上のトップ六名からなる魔導師たち。
学位
魔導学院で一定の成果を挙げた者に授与される称号。研究者である魔導師にとっては己の価値を示す非常に重要なもの。
魔法省
魔法の登録・公開、学位の授与、禁呪指定など、魔法に関わる様々な事柄を管轄する公的機関。
HIGHLIGHT 作品の見所
- 主人公・アインは魔法省に勤める一級魔導師。これは非常に優れた肩書きで、本来ならエリートと呼ぶべき立場にある。にもかかわらず彼は上司からは冷遇され、一部の部下からも「無学位」とバカにされている。それほどまでに魔導師にとって「学位」は重要なものなのだ。
しかし「無学位」のアインは史上十三番目の基幹魔法開発という、魔法史に残る偉業を達成してしまう――。
学位の有無だけで相手を判断してきた連中はこの結果に大慌て。あわてて新魔法のライセンスを奪い取ろうと画策するが、もとより優れた魔導師であるアインはそう易々と思い通りにできる相手ではなかった。
自分をさんざんバカにしてきた挙句に手柄だけを横取りしようとする相手を次々返り討ちにする爽快感あるストーリーが本作の魅力だ。
- アインは孤児院から一人の少女を引き取ることになる。実は、それは魔法省で研究を続けるために出された条件のひとつ――つまりアインにとっても本意ではなかった。
結局、研究半ばで魔法省を解雇されてしまったアインにとって、その条件は反故にされたも同然。この期に及んでシャノンを自ら育てる理由はなく、またちゃんとした里親の元で暮らすことが彼女にとっても最善である――と考える。
しかし自分の魔法に目を輝かせて喜び、言いつけ通り魔導師を目指すことに対して真摯に向き合うシャノンの姿に、アインの胸中も複雑に揺れ動き――。
はじまりはただの打算で生まれた親子の関係。それがどのように展開していくのか――今後の展開に注目だ!
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