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【crawler search】あとがき【you need word!】
そんな訳で鎌池和馬です。
吸血鬼ゾンビも九冊目!! 今回はマイクロプラスチックに焦点を当てた上で、さらに一風変わった災害(?)をデザインできないものかと考えて、『溶けない雪』という形にしました。
また、これまであまりやってこなかった、閉鎖環境での人間関係を強く前に出しています。電話を掛けても警察や消防はやってこず、現金でのお買い物すら存続が危うくなってきた孤立都市。……ただ正直、『だから』みんながみんな一斉にやりたい放題を始める、とも思えないんですよね。何かしらのイグニッションがない限り、人は異常な環境にあってもいつものサイクルを守り続けるというか、そもそも今ある状況がイレギュラーな脱線をしている事にも気づけない、とでも言いますか。
そんな訳で、作中では結構じわりと始めています。
今まであまり触れてこなかった領域の話ですが、楽しんでいただけましたら。
アークエネミー的には、スキュラとカリュブディスの二つに軸を置いています。本来のスキュラは美貌で誘い込んで一気に人を襲うタイプの怪物みたいですが、こちらは精神攻撃や心理戦に偏らせてみました。嵐に翻弄される船、という閉鎖環境とマイクロプラスチックの雪にやられた供饗市を奇麗にリンクさせられたら、と思って書いていたのですが、いかがでしたでしょうか。
それから直近の八巻が姉妹の話だったので、今回は委員長が大活躍です。頼りになる相棒というより、どっちかと言うと囚われのお姫様の方が似合っているデコメガネ。ラストは現場に連れていくかどうかでかなり迷ったのですが……。
ユリナ、タオリ、エキドナ、カレンと気がつけば若作りの奥さんやお母さんがわんさか出てくるシリーズになりましたが、委員長母は特別な能力や種族ではなく、普通の人間にできる範囲で隣人のサトリの世話をしてくれた人、というイメージです。だからこそ、普通の人間がありふれた感情によってリミッターを外した時、サトリが何としてもこの一線は守らねばと歯を食いしばった辺りも何気に見所なのかなと。世界の運命に関わるでっかい謎や問題も好きですが、でも、それを解いたり立ち向かったりする主人公は小さな悩みや事件も捨て置けない人であってほしいものですよね。
イメージイラストの真早さんと担当の三木さん、阿南さん、中島さん、山本さん、見寺さんには感謝を。街中がスキュラやカリュブディスに振り回される、と書くのは簡単なのですが、そもそも振り回される人が大勢いないと成立しないお話です。これまでの積み重ねがあってこそ。ありがとうございました。
そして読者の皆様にも感謝を。何やら紙のストローが出回る事になって身近に感じられるようになってきたマイクロプラスチックのお話でしたが、いかがでしたでしょうか。
それでは今回はこの辺りで。
いかん井東ヘレン便利過ぎないか 鎌池和馬
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