【keep watch】にんにくについての研究【from the ghost cat】
吸血鬼の弱点と言えば、太陽光、白木の杭、そしてにんにくが有名だ。他にも炎、聖餅、聖水、銀の武器など実は色々あるのだが、やはり大衆が思い浮かべるのは上位三つだと思う。
太陽や白木の杭と比べていまいち神秘性や威力をイメージしにくい、ともすれば間抜けに見えるにんにくだが、世界で一番有名な、輸血に対して若干の偏見のある吸血鬼小説を紐解くと、このにんにくというヤツがとにかく便利な道具として扱われているのが分かる。単純ににんにくの花で作った首飾りは吸血鬼を遠ざける他、家を守るのにも使っている。この辺りは『実際の』ハンター達も似たような使い方をしていたらしい。
補足すると、直射日光を浴びせると即座に灰になる、というのはこれより後に作られた映画発祥の演出であり、この小説の中では日中は力が出ない、くらいに描写を留めている。心臓に杭も絶対ではなく、杭を打った後に首を落とし、さらに口の中ににんにくを詰め込むほどの徹底ぶりを見せているぞ。
……実際のところ、今日我々が見るアークエネミー・吸血鬼は日光で灰になり心臓に杭で即死するので、この辺りは鶏が先か卵が先かの議論は尽きないが、彼らと相対するならにんにくは欠かせないだろう。古き伝統を笑う者は未来で泣くものなのだ。