あとがき
吸血鬼の姉とゾンビの妹(略)も三冊目になりました。
鎌池和馬です。
前回までは形は違っていても街全体を走り回っていたのに対し、今回は一つの建物に絞り込んでみました。廃校、廃病院などの探索もまたアンデッドの魅力を高める強烈なスパイスと考えているのですが、皆様はいかがでしたでしょうか。
(ちなみに学校と違って病院探索は和風より洋風ホラーの匂いを連想するのですが、この辺りはどうでしたでしょうか。ロケーションそのものが持つイメージについても、機会があれば深く掘り下げてみたいものですが)
加えて、もう一つのテーマとしてサトリの家族構成を強く表に出してみました。色々主人公も書いてきましたが、ここまで複雑で全員余さず表と裏の顔を持つご家庭は今回が初めてだと思います。
三人称や二度ある事は三度あるなどの言葉からもお分かりの通り、三という数字には『たくさんの、不特定多数の』といったニュアンスが付きまといます。アークエネミーの姉妹、暖かい家庭、お隣の委員長、そして背中を預けられる災害環境シミュレータマクスウェル……。そろそろそういう固定された役回りが見えてきたと思われますので、カチコチに固まってしまう前に敢えて一度全て崩し、もう一度疑ってかかる構成を目指してみました。
仲違いさせるのが目的ではなく、雨降って地固まる、といったキャラクターの真の魅力を引き出せないかなと思っての試作でしたが、ジャッジは皆様にお任せします。この一冊の中で彼らがより輝いて見えたのなら、これ以上に勝る喜びはありません。
イラストの真早さんと担当の三木さん、小野寺さん、阿南さんには感謝を。一度組み上げたキャラクターを改めて噛み直して魅力を再確認する。その原動力には間違いなく設定していただいた豊富なイラスト資料があったと思います。本当にありがとうございました。
そして読者の皆様にも感謝を。黒幕を光十字からよそに移した巻でしたが、いかがでしたでしょうか。一面的な対立構造だけでなく、作品世界を様々な方向に広げる機会を与えていただけたのは、皆様が応援してくれたからだと考えています。本当にありがとうございます。
それでは今回はこの辺りで。
サトリはスマホ使いだし、手書きメモ機能とかも取り込んでみたい鎌池和馬