【keep watch】世界各国のニュースを分析した与太話【from the ghost cat】
関連性のない個々の事件を無理矢理に繋げて大局的に見るのは、典型的な陰謀論の始まりだ。普段ならオススメはしないが、リテラシーを十分に配慮した場合は意外な真相を掴む事もある。
ここ最近、人は人に関心を持たなくなってきている。誰かを刺した、何かを盗んだ、そうした事件の犯人が捕まるたびに、その淡白な動機に唖然とする事も多いだろう。
何も犯罪者に限った話ではない。
例えば、光十字減災財団が地下で行ってきた『コロシアム』。または形を変えて堂々と開催された同名の異種総合格闘大会。知らなかった、騙されていたんだ。テレビの前のギャラリー達がそう言い切るのは簡単だが、実際はどうだった。もっと他人の痛みに関心があれば、早い段階で違和感に気づけたのではないか。
人は壊れてきている。
人が人を殺すのに至る上限は、どんどん下がってきている。
きっとこれも一定のラインがあるのだろう。何かのきっかけで一線を越え、それまであった社会は一斉に崩壊していく。災害でも、戦争でも、疫病でも、飢饉でもない。人は自分の隣に人がいる事を許せなくなる瞬間が来る。ハードルはそこまで下がる。それはつまり資本主義、社会主義などを問わずあらゆる文明や社会システムの瓦解を意味している。
つまりは、それがカラミティ。
意識の暴発という名の災厄。
人は一人では生きてはいけない。理想論の話ではなく、毛皮も牙もない柔肌丸出しの人間は、純粋に自然の中では生き残れない。
なのに何故、わざわざ破滅の道を歩むのか。
軍隊アリなど群れで移動して生活するアリの中には、数が増えすぎて食糧サイクルを維持できなくなると率先して何割かが川に入り、集団自殺を遂げてバランスを調整するらしい。有史以来最大と呼べるほどに増えすぎた人類もまた、自らその数を減らそうというのか。
これは決して感染してはならない、暴発の病だ。
呑気にお祭り騒ぎに興じた者の脳はすでに感染していると見て良い。よって一億三〇〇〇万人の九割九分には、残念ながらあの船への乗船資格はないものと判断する。
一方で。
人類全体の極天敵、カラミティという病に抗う事ができるのは、例えば『コロシアム』を前にして当たり前に怒り、当たり前にアークエネミーを助けようとした者だけだろう。
我らが求める、未来を託せる人材はそこにいる。