【confidential】出撃前のブリーフィング【storage A51】



 今回の件は災害救助だ。

 ラスベガス市街で生物汚染が発生。被害が砂漠を渡る前に迅速に終息を図るため、爆撃機編隊の出動が決定された。

 心して取り掛かるように。

 一部、風船爆弾などのラッキーパンチはあったものの、建国から三〇〇年来合衆国は未だ計画的かつ大規模な戦略レベルにおいて他国から大々的な空爆を受けた事実は存在しない。そいつを初めて破るのが我がエアフォースだというのは何とも皮肉な話だが、同じ国の大地を焼き尽くすとは考えるな。ラスベガス解放のために戦うと肝に銘じろ。


 なお、状況は流動的であり、基本計画は作戦資料にある通りだが、途中変更を前提に頭へ叩き込め。現場からのリクエストもあるだろう。対応力が問われるからな。貴様達の働きが官民問わず地上を歩く人々の命と尊厳に関わると思え。それも一秒一人なんて均等計算ではない。たった一度のミスで全てを失うかもしれない。重要なのはその緊張を保つ事だ。磨き抜いた肉体と精神で許容しろ。


 さあ鳥に憧れたどぶねずみども、世界でも二一機しか存在しないスペシャルな黒い翼が待ってるぞ。