ファン学!! 東京大空洞スクールライフRTA 02

▼004『世界が変わるたった一日のこと』編【04】


◇これまでの話








◇第五章




「ンー。じゃあ”野生”とか”スタック”もあるが、まずはアクティブ判定について話さないとどうしようもないな……」


 黒魔は、説明の順番を思案する。

 その間にDE子が一回頭を下げて、


「何か一気にテンション下がって来ました?」


「いや、今までの説明が、”判定の順序”というより”判定の重要箇所”メインだったからな。

 ともあれパッシブ判定については大体解ったな?」


「アッハイ。何かあったとき、自動的に、キャラシを参照して判定が行われるんですね」


「実のところ、既にDE子の生活内ではいろいろ発動してる筈ですわ」


「そうなの? どんなのがある?」


「たとえば階段を踏み外さないとか、寝起きの時間を間違わないとか」


「今朝、寝起きの失敗したんだけど?」


「タスクレベル上がるようなことしなかったか?」


「アー……、思い当たるフシありますね……」


 まあそんなもんだ、と己は言って、表示枠を一つ用意する。

 これから話すことを、とりあえず単語で適当に並べて、


「まず、パッシブでもアクティブでも共通する要件がある」



 それは、まず第一として、


「判定の際、重ねられる専門スキルの数は、お前の言う総合レベルの数値だ。

 お前は今、レベル3だから、三つ、専門スキルを重ねられる」


「重ねる?」


「複数のスキルを同時に使う事で、複雑な行動を取れるの。

 そうやって、アンサーを上げに行くって事だね」



 DE子は、指導役の二人が並ぶようにすれ違うのを見た。

 黒魔先輩が、白魔先輩の横に立って、


「じゃあ始めるか。白魔、訓練用のアクティブ設定で」


「あ、うん。始めちゃって」


 ああ、と応じた黒魔先輩が、右の手を虚空に伸ばす。

 一言。


「ガンホーキ、射撃ユニット部だけで」


 言うと、その手に光で出来た二メートルほどの砲が確保された。

 黒魔先輩がそれを手に取り、こちらに視線を向けた。


「これから、訓練状態だがアクティブで私の砲撃シークエンスを見せる。

 スキルカウントが行われるから、とりあえず見ておけ」


「アッハイ。――宜しく御願いします」



 素直だよな、と黒魔はDE子について感想する。

 そして、


「私の狙撃の場合、基本、感情値は”楽”を使う。

 統括スキルは反射神経という意味でAGL(速)だ」


 直後に構える。

 膝立ち姿勢を取りながら、


「――これから専門スキルだけ計上する」


 いいか?


「アクティブ判定においては、以下のルールがある」


 ・スキルレベルが1以上のスキルしか使えない

 ・スキルを使うには、スキルに応じた行動を宣言、または意思する必要が有る


「どういうことか、解るか?」


「スキル持ってないと、どうしようもないときがあるってことですか?」


「そうなるときもあれば、それを引っくり返すことも出来る」


「どういうことです?」


「――スキルは単一行動用じゃありませんのよ?」


 牛子が飛ばした言葉。

 その意味を新人は正しく応じた。


「――ある行動をする場合、最適以外のスキルで行ってもいいんですか!?」



「出来るんだなソレが。ガバガバのクソ仕様の良い処だ。――黒魔」


「ああ。

 たとえば私のメインは”射術”。

 これはガンホーキのような”射撃姿勢を取る機械式射撃システム”を扱うものだ。

 しかし――」


 一息。


「たとえば射撃システムや機械、砲や砲弾などの知識を必要とする場合、知識系スキルとしてこの”射術”は使える」


「マジですか!?」


「もっと無茶苦茶言うと、たとえば攻撃を受けたとき、ガンホーキで防御したり受け流すなら、この”射術”使えるよ?」


「だとすると……」


「スキルの見え方が全く変わるだろ。

 お前の持ってるスキルで、たとえば”解体”と”建造”は、主に建物や大型構造物の知識や組み立てに使う。

 だがこれを防御系として使うなら、建物を遮蔽に活かしたり、構造物の耐久度や可動部を利用した防御、――ドアを閉じて盾にするとか、そういうのに使える」


「じゃあ盾は解体や建造か、って言ったら、”防御”や”力技”でもいい。

 防護障壁だったら”表示枠”だって構わねえ」


「ガバい……」


「コレ、どのくらい経験や発想があるか、だよな」


「まあそういうことだ。研究と実践が必要な訳、解ったか?」


 頷く後輩に、己は言う。

 模造の砲塔を掲げて見せて、


「ともあれ、――”動作”が思いつかないとスキルが使えない。

 ――一例見せるから、よく見ておけ」




 黒魔は、後輩向けに解りやすく実演した。

 動作シークエンスとなる言葉を重ねながら、実際の動作をする。



 手始めに、銃砲を構え、


「まず、さきほど言ったように、感情値と統括スキルを指定する。

 私の場合、”楽”と”AGL”だ」


・楽+AGL=SECRET


「あ、すまん。キャラシの公開設定入れてないから各数値はシクレ状態だ。

 まあ解ると思うから、先行くぞ?」


「黒魔クゥン? 自分のデータ開示するのが怖いんですかあ?」


「うるさいな! 単に設定変更忘れただけだよ!」


 ともあれ、己は言う。専門スキルの話として、


「砲撃の基礎的スキルは”射術”だ」


 そして、


「そして狙撃姿勢を固めるのは”力技"。

 相手に気付かれぬように”ステルス”で伏せ。

 狙撃相手の反応を知覚するために”聞き耳”、”発見”、”気付き”を発動。

 そして砲撃の迷いを無くすために”度胸”を掛ける」


 一息。


「実際のアクティブ判定では、これらを同時に重ねて砲撃してる」




「!? 何か演出出た!?」


「普段は出ないけど、いい感じの数値とか出ると演出入るよ」


「コレ、恐ろしいことに意味が無いのにキャンセルできないから、ステルス行動中とかに出るとヤバいんだよな……」


「MLM最大の虚無サービスかつ迷惑サービスだが、意外にコレがねえと落ち着かねえ時あるよな……」


「ハナコさん、この演出以外に褒めてくれる人がいないから……」


「うるせえな! ちゃんとTDSAの実況とかで褒められてるよ!!」


「後で確認しないと無いレベルですの?」


「というか話戻しますけど、――黒魔先輩、アンサー64!? 無茶苦茶高くないですか!?」


「いや、そうとも言えねえんだ。コレが」


「? どういうことです?」


 ああ、と黒魔先輩が頷いた。


「アリーナでは私達と同じようなレベル帯の連中と対戦することになるし、大空洞に行けば先日のワイバーンクラスの障害は幾つもある。

 ――アンサーが高過ぎる、ということは無いんだよ」



 こちらの告げた言葉。

 それに対し、後輩が手を挙げた。


「だとしたら、スキルを多く重ねられるように総合レベル上げた方がよくないですか?」


「まあそういう意味では、総合レベル? 上げた方がいいのよね。

 そうだよねクロさん」


「――そうだな。

 基本的には、専門スキルを重ねる数を増やすことで、アンサーを上げる。

 これが強い」


  だが


「――レベルキャップがある以上、スキルを重ねられる数には上限がある。

 つまり、お互いが出せるアンサーには基本的に上限があるんだ」


「ではどうするんです?」


 DE子の問いかけは、今回の指導のスタートラインに戻るものだ。

 キャラシに縛られない方法とは何か。


「”野生”や”スタック”というものがあると聞きました」


「ああ。そういうものもある」


 だが、と己は敢えて言った。

 カウンターの方でハナコが”ヒュー”と両手を挙げるのを視界の隅に入れつつ、


「基本的な技術でも、対処可能な部分がある」



 いいか、と己は言った。


「まず、自分が出せる最大アンサーを、常に発揮出来るようにする」


「それは――」


「訓練と研究だ。

 それは自分の力を発揮する方法、手段、技術を培う事となる。

 そして――」


 そして、


「それら方法、手段、技術を用い、――相手に対し、不利な状況を与える。

 ペナルティはルールとなっていて、相手のタスク、アンサーを下げることが出来るんだ」


 これはどういうことか。


「条件はあるが、特殊なことをせず、基本的な方法でも、”世界に抗う”は出来る」



「あー……」


 どういう意味か、解ったらしい。

 ちょっと安心。ゆえに己は気楽に話す。


「アンサーを上げるのは、自分を有利にすることに繋がる。

 だから、お前の言う総合レベルだけじゃなくて、各スキルのレベルも上げるんだ」



 DE子は、黒魔の説明から二つのことを理解した。

 一つは、


「……ちょっと自分、焦りが出てましたね。

 ルールが解ったつもりになって、有利を求めすぎたというか。

 済みません」


「そこらへん解っちゃうからDE子さん優等生~」


「謝ることはない。勝ち筋を多くしたいというのは当然のことだ。

 煽るヤツは別として」


「おい! こっち見て言うな! あたしがいつ煽ったよ!」


 常時煽ってないですかね……、としみじみ思う。

 ともあれ、もう一つの気付いたことは、コレだ。


「基礎が大事ですね。

 単純にスキルレベルを上げるとかじゃなく、それによって何が出来るかを知っていくというか」


 つまり、


「レベルを上げて、更にスキルを重ねるパターンとか、訓練で憶えて行かないと駄目ですね……」


「そうね。

 地形やタイミング、装備によっては、使えないスキルもあるからね。

 そしてさっきのクロさんの射撃動作を見たら解ると思うけど、アレを実戦で、一瞬の中で行うのがアクティブ判定なの」


「ちゃんと訓練してないと、頭真っ白になって終わるから……」


「だからそう言ったことを想定して、いろいろな組み合わせと動作を訓練しておきますの」


 当然と言えば当然だが、なかなか難しい。


「数値の勝負なのに、基本的な処でアナログだ……」


 言うと、黒魔先輩が頷いた。


「専門スキルを重ねれば、動作は複雑になる。

 下手に重ねると、複雑になっただけで、効果が生じない場合もあるんだ。

 その場合、こっちのアンサーは上がらない。

 そういう研究も必要なんだ」


 だから、


「だから戦術を構築しなければ、アンサーを安定して、上げられない。

 この、数値と動作。そして経験と判断のバランスが大事だ」


 言われて、自分は己のキャラシを見る。

 ちょっと不安になる要素があった。


「レベル3ってことは、3つしか専門スキルを重ねられないってことですよね?」



「考えろよ?」


 黒魔は言った。

 何となくだが、この、今目の前に居る新人は”それ”が解る気がする。

 牛子も梅子も解っていることだが、この新人は、飲み込みが早い。

 素直だ。

 その理由は、何だろう。気になる事があるとすれば、


 ……コイツ。何かビミョーに追い詰まってるんだよな。



 白の地平。


 何処までも続く、無人の平野を夢を見たと言う。

 その夢に恐れを感じて、どうにかしたいと、そう思ったと。



 ならば、と黒魔は思った。

 そんな後輩に、己がここで教えられるのは、


「――じゃあ、元の話に戻そうか。

 キャラシに縛られず、”世界に抗う方法”。

 アクティブ判定でのみ使える、――レベル以上のアンサー叩き出す二つの技術だ」



 言って、己は右の指を一つ立てた。


「第一に、”野生”だ」


「……その”野生”って、何なんです?」


 ああ、と己は頷いた。


「アクティブ判定はマニュアル操作だというのは解ってるだろ?

 だからそこで、ある操作を行う」


 それは、


「――”判定”処理を大空洞範囲のシステムに行わせず、自分自身で行動する。

 つまりシステムキャンセルによる無判定行動だ」



「……出来るんです!?」


「……ガバいだろ?」


「でもアクティブ時だけは出来ちゃうんだよねコレが」


「どうやって?」


「判定が開始されるタイミングよりも前で、あることをしますの」


 それは何か。面倒なので自分から言う。


「感情を起こさない、だ」



「アー……、そっか……。

 ”我ら全ての行動を感情によって始め”なんですね……」


 理解が早くて助かる。


「この”野生”ルールがないと、不意打ちの時に何故か反応してしまうことになるんだ」


「アー……」


「そう。しかしそうはならないから、何故かってのを俺らの代で研究したんだよ。

 寝てると大ダメージだが、麻痺ではそうならないのは何でだ? みたいな。

 ――解った条件は”感情が起きてないと判定は生じない”」


「今はまた仕様がチョイ変わって、感情を指定しないか、または特定個人だけが持つような特殊な感情ベースだと”野生”になるぞ」


「……でも、無判定行動って、強いんです?」


「フツーは弱い。

 やはり”判定”とスキルの組み合わせは、その人が出せる最適動作を再現するからな」


 だが、


「……何故かそうじゃないのに強いのが、たまにいるんだよ。

 ルール無視というか。

 だから、――”野生”って言われてるんだ」


「……達人ってことですか」


「そうだ。……結構いるぞ、キャラシ無視でアリーナ荒らしてるのとか」


 そして、指をもう一本上げ、自分は確かに言う。


「”世界に抗う方法”。

 その第二の方法は、――”スタック”だ。

 こっちの方が本命だな」


 それは、


「――選択した専門スキルを多重使用する技術だ」



 DE子は、言われた意味を考えた。


 ……選択した専門スキルを、多重使用する?


 疑問して、答えを思うために、専門スキルに対する判定ルールを考える。


「ええと」


 どういうことだ。


「判定に使える専門スキルの最大個数は、総合レベルの値に等しい」


 言うと、皆が首を下に振った。

 合ってる。

 オーケイ。

 ならば、


「……選択した専門スキルを多重使用とは」


 どういうことか。答えに気付いた自分は、思わず叫んでいた。


「――バグじゃないですかコレ!?」



「判定に選択した専門スキルは、それを用いる行動を思いつく限り、その判定の最中に何度使用してもいいんですね?!」



「ハハハ! 気付いたか。

 バグであってもこれはプレイヤー有利ないいバグだ。誰も修正要望出しゃしねえ」


 そうだなあ、とハナコは言った。


「専門スキルの運用幅、って話だな」


「ですわね。

 ――例えば剣で攻撃するとき、専門スキル”剣術”を使いますわよね。

 でも、”剣の一撃”と言っても、その動きの中では、いろいろな動作がありますの」


 と、牛子が表示枠に動作の例を並べた。


 ・踏み込み

 ・スイング

 ・手首の返し

 ・上半身の制御

 ・ヒット時の引き切り

 ・踏み堪え

 ・残身


「……と、これらを実践出来るのであれば、これら一つ一つに対し、”剣術”スキルを重複使用出来ますわ」


 つまり、


「”剣の一撃”の中で、”剣術”スキルを七回使用出来ることとなりますの」


「マジで!?」


「ええ、七回スタック。

 アンサーには”剣術×7”が加算されるこれを、――ヘプタスタックと言いますわね」


「踏み込みと踏み堪えは”力技”でスイングと上半身の制御は”曲芸”じゃねえかな。

 まあでも、こういうの挙げて考えるのも研究だ」


 解るか?


「この、選択した専門スキルの多重使用は、アクティブ判定でしか使えねえ。

 そしてこれを、――スタックと呼んでる」



■スタック

《素人説明で失礼します

 この単一スキルの重複使用を”スタック”と呼び

 重ねた回数によって ダブルスタック トリプルスタック などと言います》



■スタックの数え方

《素人説明で失礼します

 スタックの倍数接頭辞の数え方は 一般的なセオリーとは違い 大空洞での呼び方となります

 以下 1~10までのスタックに対応した倍数接頭辞の呼び方です


・シングル(SINGLE)

・ダブル(DOUBLE)

・トリプル(TRIPLE)

・クアッド(QUAD)

・ペンタ(PENTA)

・ヘキサ(HEXA)

・ヘプタ(HEPTA)

・オクタ(OCTA)

・ノナ(NONA)

・デカ(DECA)


 これらの後ろに”スタック(STACK)”をつけますが シングルの場合は通常判定として シングルスタックとは呼ばないのが慣例です

 なお これ以上のスタックとなると 数字呼称を二つ並べるか オウサム(AWESOME) が当てられます》



 そうだな、とハナコは腕を組んで言った。


「使用するスキルは一個でも、スタックし続ければアンサーを無限に上げられるぞ。

 どうだ? クソルールだろ、コレ」


「ガバいんだかルールがあるんだか……」


「トリプルの次がクアドラプル(QUADRUPLE)ではないので戸惑いますね……。

 他、以後のものもいろいろ混ざってる感です」


「中途半端に変えるくらいなら”シングル・ダブル・サブル・シブル・ゴブル”とかでいいよな別に」


「シンプルに良かねーよ」


「でも、……つまり動作の細分化や、加える挙動を実際に出来るなら、無限にスタック出来るんだ……」


「理論上、そう言われてますわ。

 だけど私も、さっきみたいなのでヘプタスタックは出したことありませんけど」



 後輩に視線を向けると、口を横に開いていた。

 今のクソルールの説明についてだが、


「専門スキルの中での解釈変更、有りなんですか……」


「ああ。

 私の”射撃”スキルも、実は射撃”動作”と射撃”知識”として用いることで、初手からダブルスタックが基本だ。

 でもルール上、使用しているスキルは一つということになってる」


「ガバい……」


 いやホントそうだよな、と内心で頷いておく。

 するとフォローのつもりか、白魔が一回手を叩いた。


「ま・あ・ね。

 ――でもそういうの、ちゃんと訓練してないと”技として出ない”から、気を付けてね?」


 そうだ。

 だから結論はこういうことだ。


「他、いろいろと方法はあるが、基礎は一つだ。

 ――賢いヤツが勝つ」


「そうだぞ!

 賢いヤツが勝つ!

 おっと、最大に賢いのは誰かなあ!?」


「アレは例外だ。無視しろ」


 何か最近あたしに対して冷たくねえ?



「じゃあここらへんで一息入れよっか。

 レベルアップ処理の筈が、判定説明で長かったもんね」


「いや、レベルアップ処理する前にコレ聞いておいて良かったな、って思います」


「レベルアップは所属コミュニティの話を聞けと、そう言われる訳ですの」


「だよねえ。……あ、でも、先日の大空洞アタックは、こういう判定を要所でしていたんですか?」


「白黒は知らねえが、あたしは全部パッシブ判定で過ごしてたぜ。階層クリアの経験値ボーナスで、オールパッシブってのがあるから、浅い階層だとそれ狙いだな」


「だからお前は障害物に当たったりするんだよ……」



 ああ、とDE子は思った。

 とりあえず”判定”というものを知った。

 まだ知らないこと、解っていくことは多くあるのだろうが、基礎は習った。

 だが、


「……何か”世界”が変わったなあ……」


《実際 大空洞範囲で このシステムが生まれたことで 世界の謎というか 幾つかの部分に 説明がつきました》


「そうなの?」


《はい

 これまでは 戦闘の達人が レーザーなどを回避出来たりするのを ”未来予知” と大雑把に片付けていました

 しかし このシステムが出て来たことで 私達は行動の結果として成功しているのでは無く 成功する運命と失敗する運命が先に有り それを読めたものが 成功に至る行動をとっているのではないか と そういう論に進めたのです》


「御免、ちょっと難しい……」


《おっと ”運命”と付き合いを持つ”武蔵勢”の話をしたい処ですが また別の機会にしましょう》


 掘れば掘るほどいろいろ出てくる感じだ。

 スキルだ何だと複雑なシステムだと思うが、


 ……考えて使えば強い、か。


 使用する感情値も、スキルの重ね合わせも、段々と自分なりのパターンや、強みが出てくることになろう。

 それはつまり、始めにハナコが言った通りだ。


 ……世界に抗う方法と、そういうことだね。


 白の地平。

 そんなものを目の前にして、これは己の力になるだろうか。



 何かいろいろあった。

 地下のオープンカウンター。時計はそろそろ十二時だ。

 判定の説明は終わった。

 だがDE子としては、考えることがある。

 まだキャラシの上、経験値は余っているし、スキルなども空白場所が多いのだ。

 しかし、


「よし、昼になったから、――新人の歓迎と、一昨日のミッション打ち上げ行くか!」




◇これからの話