ファン学!! 東京大空洞スクールライフRTA 02
▼005『自分が知らない自分の物語』編
◇これまでの話




◇『▼第五幕』

◇序章
●
土曜日の昼前。エンゼルステアの集合は図書館だった。

今更気付くが、校舎以上に大きい。
南北に五十メートル。東西に二百メートルはあるだろうか。

《内部は吹き抜けの多重アリーナがありますので 建物として屋根がある部分は 見た目ほどではありません》

「隠れて遊んでる感強いなあ」
とはいえ大空洞に繋がっているのだ。
大空洞の正式な入り口は、校舎ではなく図書館。
一種の門であり、拠点なのだろうと思って入り口を潜る。
すると、広いエントランスには多くの人影があった。
人ではない姿も多く、カートや台車でダンボール箱やタンクを運んでいる姿もある。
そしてちらほらと、表示枠を手元に置いて記録している職員もいて、

「DE子! こっちですの!」
手を振ってくれる牛子の長身が有り難い。
幾らかの影がそちらに振り向き、一部の女子衆が、わあ、と驚きの声を上げるが、ホント有名人だと思う。

《貴方もとうとう総再生数が一億回に届く処なので 相当に有名人ですよ?》

「そういうのホントどうでもいいからね!」

「何やってますの? ほら、こちら、地下図書館の方ですの」
と、牛子に案内されたのは、先日も来た、書架の並ぶ広大な空間だ。
●


「……ここ、見てるの結構好きかも……」
職員達の多くは侍女服だ。それが移動式の書架を押したり引いたり、またはカートに小型書架を乗せて一気に移動させる。
これが、大空洞への干渉を行う環境術式プログラムコードを組む行為だと聞いたが、

「――ここの制服、カワイイですわよね。
大規模な術式を掛けるときは空中にも書架が並びますのよ?」

「何か凄い場所だけど、最前線って訳だ」

「ですわね。
――あ、こちら、会議用に個室を用意してますの」
個室? と牛子の行く先を見ると、確かにそういう場所があった。
書架を箱形に並べて、六畳ほどの個室が作られているのだ。
そしてその入り口に、やはり侍女服姿があった。

……自動人形?
■自動人形

《素人説明で失礼します
自動人形とは 人形に何らかの魂が宿って核となる部品が生じ 自律動作を始めたものです
種族的に扱われており 型式が近しければ共通記憶も有します
全体としてある程度統合された思想”我々は有能ゆえ 無能が滅びを導かないよう 補助しなければならない”を持ち 活動しております》
川崎にもゼンマイ式や石炭駆動式が結構いたなあ、と思う視線の先、銀髪ボブの自動人形が頷いた。

「初めましてDE子様。東京大空洞学院図書館付き自動人形、かつエンゼルステア担当、DUCAT-SF025J-03 ACMP01型です。
――クソ面倒なのでA子で通しております。
以後宜しく御願い致します」

「もはや何でもありだなエンゼルステア関係者……」
A子に導かれて個室の中に入る。
すると、


「よし、一年全員揃ったな? ――白魔、状況説明してくれ」
●

白魔は、中央に置かれたテーブルに菓子とミネラルウォーターのボトルが人数分あるのを確認。
ここにいるのは三年組と一年組、そして、

「あまり知覚出来なくなってるけど、聖女さんいるよね?」

「はい。
加護を全域に通すため、ここにはなるべくいるようにしていますので」
じゃ、と己はテーブル脇に立つ。
横にA子が立って、大きめの表示枠を射出した。
彼女とアイコンタクトの上、己は言葉を作る。

「先日のボスワイバーンを倒したミッション。
あれで完全踏破をしたのね?
でも、踏破率が100パーセントになってないんだって」

「そうなんです?
でも実際、あの階層の解像度が上がったの、見たんですが……」

「未踏破区画が二重になってる箇所があった、ということだな」

「二重? 一発で解除出来ませんの?」

「たまーにあるんだよね。
一回踏破した後、そこがもう一回踏破出来るってパターンが……」

「トラップ系に多いんだ。
ワープゾーンとか、ターンテーブル系もだけど、たとえばピット系も、ハッチ型ピットの場合、ピットの底とハッチ部分で踏破率が別に仕込まれていたりする」

「……バグ、って言っていいのかな?」

「MLMの野郎が適当に作ったんだろ。
碌な仕様じゃねえ」

「今回は、どういう箇所なのですか?」
聖女の言葉は、姿がほとんど見えないから、ちょっと不思議な感がある。
ああ、天啓とかこんな感じなのかな、って思いつつ、自分はA子に視線を向けた。
自動人形が、不意の手捌きを見せたのだ。
描く。
キャンバスは彼女が広げた大きめの表示枠の中。
それは二つの図だった。
●
一つは宙に浮かぶ浮島の配列を横から見たもの。
もう一つは、やはり宙に浮かぶ浮島を、上から見たもの。

「Tes.、――このような処でしょうか」
言い終える頃には、レイヤー構造によって多重化された空中諸島が上と横の視点から二つ描かれている。

A子が、皆に対し、軽く頭を下げて言った。

「こちら、現第一階層の上空図と断面図です」

「断面図? サイドからの視点じゃ……」

「断面図です。シサ子様から習いました」
断言にDE子さんが俯いて黙った。
あまり深入りしない方がいいと判断したらしい。
正解。
なのでこちらも、

「ま、DE子さん? 小さい事は気にしないでね?」

「小さい事ォ?」

「ンンンン。
A子さん?
今は業務の時間だから、そっちに比重置こうね?」

「Tes.、解りました」
■Tes./Jud.

《素人説明で失礼します。
Tes./Jud. とは 東京五大頂の内 UCATと武蔵勢が用いるものです
どちらも”了解”の意味を持ち オーケイ ラジャーなどと同様の言葉である と考えて下さい
Tes.はTestamentの略 テス テスタメントと言います
Jud.はJudgementの略 ジャッジ ジャッジメントと言います
なお UCATはTes.統一
武蔵勢の文化圏では
Tes.は西欧勢力
Jud.は極東日本 武蔵に所属する面々が用います》
●
あれ? とDE子は思った。

「桜って、Jud.使っていたっけ?」

《桜は武蔵勢の代表ですが Tes./Jud.共にキリスト教文化圏から始まった加護付き応答なので 武蔵勢の中でも神道勢力や 他地域の者はそれを使用しませんね》

「色々フクザツだ……」

「マーそんな感じで。
今回のミッションは第一階層なのね。
だ・け・ど、――ハイ、ハナコさん、説明」

「ンだよ。
お前が全部進めるんじゃねえのかよ」
と、ハナコが制服のスカーフを緩めた。

「今回のミッションの参加条件は一年生、レベル8未満限定だ。
人数は三人。
――あたし解説役だから、一年組、お前らがしくじるのを指さして笑う役な?」

「サイアク……、というか、どういうことですの!?」

「――レベル8未満限定?」

「初心者限定ってことだ」
黒魔先輩が、腕を組み、椅子を斜めに傾けて言う。

「今回のミッション、初心者で行くことが踏破条件になると、図書委員が決めたんだ」
■東京大空洞学院図書委員会

《素人説明で失礼します
東京大空洞学院図書委員会は 東京大空洞学院内にある武蔵路大空洞の入り口 そして入退場や加護の管理を行う委員会で 学生のみならず外部協力をもって運営されています
大空洞各階層の踏破状況 未踏破の分析 判断なども行っており 踏破系ミッションの多くはここから発されています
現在の委員長は 大空洞学院三年 テツコです》

《有力ユニットは 入退場の手続きや諸事の処理を簡便にするため 担当となる図書委員がつきます
エンゼルステアではA子がそれです」

「ホントは私が処理を全部やっておくべきなんだけどね」

「え!? 白魔先輩、それはちょっとハードワークじゃないです?」

「うーん。”出来る”って言ったんだけど、ハナコさんやクロさんに超否決されて、A子さんの手間を借りることになってるのね」

「こちらとしては市井や文化に興味がありましたので、問題無いと判断しています」
さて、とハナコが言った。

「話は簡単だ。
あたし達が先日クリアした未踏地点。
つまりあの巨大岩壁の天辺な?
あれの何処かが未踏範囲になってるようなんだが、条件が”それ”だ。
――初心者限定」

「どういうことなんですの?」
●
DE子は見て、聞いた。
まずはA子の頷きで、

「消去法に近い割り出しです」
彼女の言葉と共に、白魔先輩が、図に描かれた巨大岩壁の上を手で叩く。

「ここを踏破するのには、とにかく急いで辿り着いて、ボスを倒す……、って感じだったよね?
――で、実際に倒したんだけど、あれはかなり”特殊な条件”だったじゃない?」

《アレが初めてのDE子には解りにくいかも知れませんが 高レベル実力者が三人組んでようやくクリア出来るというのは 第一階層だと普通有り得ません》

「いや、充分にムチャクチャだったと思ってるよ……」

「まあそんな処で。
第一階層にしては初心者ほぼ不可能な踏破条件だった訳。
元々、ザコのワイバーンもレベル8基準だから、初心者階層じゃないのよね」

「……レベル8ってさっきから聞きますが、初心者と上級者の分かれ目なんです?」
■レベル8

《素人説明で失礼します
レベル8は 初心者と中級者を分けるレベル と 非公式に認識されています
大空洞範囲の攻略初期において 一括術式がレベル7で供給されるものが限界だったこと そして後にレベル9からの統括術式で 対象がレベル7以下であることが効果発動条件になるものがあり ここが節目と認識されるようになりました
なお 現状ではレベル上限も上がっており
レベル7までが初心者
レベル12までが中級者
レベル13以上が上級者
という扱いですが 既に上限のレベル30に達している者も多くおり 区分が見直される可能性が有ります》

「――つまりザコですらレベル8基準の現第一階層は、ちょっとハードモードなのね」

「そこをとにかく高速で突っ走ってボスの出現位置まで行くのが、この前の踏破だったんですね」
だとすると、今回のミッションの狙う処は解る。

「初心者戦力のパーティで、あの位置まで行け、と」

「私達の見立てだと、時間制限はほぼありません。
ただレベル8未満であることが条件だと推測しています」

「? 一年生や、3人パーティというのが提示されていますけど、それについては?」

「前回の踏破条件が4人であったため、初心者戦力としては、それより低い3人が踏破条件ではないか、という推測です。
一年生を限定としているのも、そのためです」
ああ、と牛子が頷いた。

「つまり前回の踏破よりも初心者で、”弱い”とMLMが判断出来る戦力で望んだ方が、踏破条件に見合うのではないか……、ということですのね?」

「意外と不確かなんだね……」

「前回の踏破条件は、ホント、皆で何週間も探って検証して導き出したから、確度が高えんだ。
今回のは、三日程度で割り出したんだろ。
方向性が見えてるだけで、テツコも充分よくやってる方だぜ?」

「そこらへんの検証って、どういう風にしてるんです?」
ハナコが真顔で言った。

「死んで憶えろ」
●
白魔は、言葉を選ぶことにした。

「ンンンン。
まあ、条件ミスったら戻ってくる、っていうのが普通ね。
踏破ミッションって言っても、かなりの確度で踏破条件が解ってる場合と、そうじゃない場合があって、今回みたいなのは後者」

「つーか、踏破条件が正解って、要するに”一回クリアしたら終わり”ってことだからな?
たまに一週間ごとの更新で初期化されて再チャレンジするときもあるけど、踏破ミッションの99パーセントは踏破条件が不確定な”ミス前提”だと思っていい」
こちらの視線の先、アー、とDE子さんが頷く。

「じゃあ気楽に行って来い、って処ですか」

「初心者ミッションって処ね。
もしも踏破条件がミスってても、指定条件満たして踏破位置まで行けば、仮踏破ってことで報酬出るから」

「一年パーティの初陣って感ですわね。
――では、ルートは?」
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DE子の視線の先、白魔先輩が作図の第一階層を手で示す。

「以前は高速に突っ走るから下ルートで行ったけど、今回は安全に、時間掛かっても構わないって判断だから上ルート」

「――でも第一階層は、開幕早々空中ですよね?」

「そうだな。
今回の階層拘束は以前と同じメジャーが一種類だ」
・――ものは下に落ちる。

「単純なものだが、通常の低速型降下術式は使えない。
下に引っ張られてキャンセルされるからな」

「前回みたいな曲芸着地をしないなら、特殊系の降下術式だ。
――落下直前に”上に上げる”もので、降下中はサーフ式で座標もある程度変えられるから、それを使え」

「瞬間的なパラシュートみたいなものなんです?」

「うん。
傘は開かないけどね。
でも地表間際で一回上がって下がるんだけど、着地したとき自動で術式切れるから気を付けてね?
下手に立ったままでいようとすると、血流下ってブラックアウトするから座るなり寝るのが一番」
と言われる間に、こちらの手元に複数の術式表示枠が来た。
白魔先輩のものと、黒魔先輩のものだ。
それらはシャッフルするように重なり合い、消える。

《格納しました
――以後 自動処理で使えるものは私が判断して用います》

「凄い……。AIみたいだ……」

《AIなんですよ! AI!》
言っていると、手が上がった。
梅子だ。
彼女はその手で作図の第一階層を指さし、

「でも、どうやって浮島を渡っていくの?」

「――ええ。
大体の浮島にはロープが張ってありますのよ?」
●

「ロープ?」

「まさか綱渡りで?」

「アー、行ってみれば解りますわ。ちょっと驚くと思いますの」
面白いのかな……、と思ってしまう自分が軽い。

……でも、興味って大事だよね!
と、己を納得させていると、ハナコが一つ手を打った。

「まあそういう感じだ。
第一階層経験者は牛子とDE子だが、大体の処は解ってるな?」
その問いに、こちらは牛子を視線を合わせた上で、それぞれ頷いた。

「下ルートしか行ってませんけど、下の危険性は解ってます」

「私の方は、上下共に付き合ってますけど、基本、上ですわね」

「上出来。
聞いた限りだと採取系のハイキングと同じだ。
だが油断はしねえってことで、装備は通常装備。
運悪く下のワイバーンが上がって来たら、判断な?」
●

「判断?」
投げた疑問詞に応じたのは、黒魔先輩だ。
彼女は、こちら三人を指さし、

「お前らが昨日倒したボスユニコーンは、あれ、レベル8だぞ?
つまり一応、お前らも、レベル8には対応出来る。
だからもし出会ったら、判断だ」
たとえば、

「入り口付近で突っかけられた逃げれば良いし、踏破完了が近い場合は、踏破完了した後で戦えば、結晶化しても問題ないだろ?
そういう判断だ」
あとは、とハナコが視線を回した時。声がした。

「私が、全体の加護を与えます。
ただこれは、一年組の皆様だけではなく、大空洞全ての出場者への加護なので、パーティ人数に換算はされません」

「あと、バックアップは私が担当するね?」

「バックアップ?」

「地上側から、実況とか見つつ、パーティに助言する役だ。
今回はつけていいルールだから、白魔がつく」

「術式とか送ることは出来ないけど、いろいろ判断助けたり、知識的に補助するからね。
困ったときは相談して」
はい、と頷くと、ハナコが立ち上がった。

「――あたし実況役だからな。
あと今回、競合ミッションになるから、頑張れよ?」
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そんな流れで、自分は踏破ミッションに挑むことになったのだ。
図書館の出口。
カウンターで白魔先輩が他の委員と話し合い、表示枠の交換などやっている。

……三日前はアレ、何やってるのか解らなかったなあ。
今もよく解らないのだが、恐らく自分達の加護関係や、大空洞内の状況などを情報交換したり、出場の手続きを行っているのだろう。
たった三日で、周囲の解像度が上がった。
こういう”理解”こそが、どうにも出来ないような状況を、どうにかするための一歩なのだろうか。

「私は観客席の方にいる。関係者席だけどな」
既にハナコは、実況のために図書館から出て行った。
あとは、

「よっし。じゃあ入り口までだけど、一緒に行こうか」
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「――牛子さん、先頭ね」

「そうなんですの?」

「今回のメインは一年組だから、リーダーは牛子さんが最適。
――手続きはこっちでやるから、プロテクトシールだけ忘れないで」
あ、と己は手を上げた。
すると即座に横から頬当て型のものが差し出される。

「忘れてるだろうと思って、用意しておきましたわ。
――昨日、制服ボロボロにされた時、一緒に破損して打ち捨てられていた筈、と思ったので」

「うわ、有り難う。
幾ら?」

「別に構いませんわよ?」
いやそれは、と言おうとした自分に、白魔先輩から声が来る。

「白砂の汎用品だよね?
報酬から天引きしておくのでいいよね。
うちの備品として新しいの買っておくから、牛子さんも必要な時に使っていい、ってことで」

「いい判断ですわ」
言って、白魔先輩がこっちにやってきた。
皆で、図書館の出口の前に立つ。
そして、

……行こう。
一歩を踏み出すために、自分は開いた扉を潜った。
行く。
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歓声だった。
土曜の昼前。
半露天という、四方を覆わない天蓋の下、アリーナに挟まれた入場通路がある。
その左右、自分達が行く道の上から、声が掛かる。
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「頑張れよ一年生……!」

「死んでもいいけど死ぬなよ!」

「気楽な癒やしミッション見せてくれよ!」
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好意的、という声に、自分は先日にここで浴びた空気を思い出す。

「随分と違うもんですね……!」

「前のは、ほら、ハナコさんが先頭だったし。
ぶっちゃけここに来てるベテラン連中なんかとは、私達、無茶苦茶競争相手って感じなんだよね」

「でも私達なら、競争相手ではないから気楽と、そういうことですの?」

「まあそれだけじゃなくて、皆、昔は一年生の低レベルでさ。
つまり、――君達三人みたいだった時代があるんだよね。
それを否定は出来ないからね?
そして新人を大事にしないと、後に続く人がいなくなって、自分達の安全性も失うことになるの。
ある程度大空洞相手に生活してると、新人は大事にしようって、皆解るんだよね」

「でも、相手として見られてないのは、ちょっと悔しいですわね」
と言う牛子だが、彼女目当ての応援団もいる。
よく見れば一年生の女子集団だ。
●

「牛子様――!」

「牛パワーで頑張って下さいませ!」

「ホルスタイ――ン! ホァーッ! ホーッ! ホ! ホ! ホァーッ!」
●

「牛子、ホルスタインじゃないよね?」

「何か情報が間違って伝わってますのね」

「牛子、人気だなあ……」
だが通路を進んでいて、自分は、ふと気付いた。
行き先。
大空洞の入り口となるハッチの前に、競合相手が居るのだ。
あ、とこちらを見たのは、三人の入場手続きをやっていた兎耳の先輩格だ。


「おお、来たね?
新人君達、ようこそ。
――白魔君はバックアップかね?
こりゃあエンゼルステアが有利かな?
公選バックアップはうちの職員だから、ナビゲートは出来るんだけどね」
言って、彼女が今まで手続き対応していた三人を示す。
三人の低レベル一年生ユニット。

「では、エンゼルステアの新人君達?
これから君達は、こちらのファッションユニット”しまむら”と、どちらが先に踏破ミッションをクリア出来るか、ランして貰う事になる。
つまりは”初心者限定RTA”だ」
●
自分は、何となく予感はあった気がするな、と思いつつ、軽く手を上げた。

「えーと」


「うっわDE子さんトコですか! コレ本気でやらないと赤字ですね!」
まさかこの面々と勝負になるとは。

◇これからの話



