Story
運び荷は、マフィアが追う吸血鬼の少女。
届け先は、彼女が安全に暮らせる場所。
命懸けの逃走劇がかけ離れた二人の絆を育んでいく。
秘密を孕んだ空っぽの恋。
けれど彼らには、そんなちっぽけな幸福で十分だった。
非合法の運び屋と、天涯孤独の吸血鬼。
二人の共棲を描くファンタジーロマンス
「どこまで行きます? それと、いつまでに行きます?」
シーモア・ロード
非合法の運び屋。運び荷の中身を問わず、必ず時間通りに届けることが信条。
仕事の態度とは裏腹に、普段は軽薄で女好きで浮気性。
身寄りのないルーミーを保護し、しばらくの間ガレージに彼女を住まわせ一緒に生活することに。
「そういうことをいってしまうと、本当に頼ってしまいますよ?」
ルーミー・スパイク
“運び荷”としてシーモアが預かった少女。マフィアに狙われており、保護を求めている。マフィアに襲撃される中で吸血鬼という正体が明らかに。
人の血を吸い不死性を持つという正真正銘の怪物だが、温厚かつしとやかな少女。
素性不明の少女をとある屋敷に届ける。
シーモアがルーミーに出会ったのは、そんな依頼を受けてのことだった。
マフィアの追撃を運転技術によって切り抜け、目的地に到着した先で、さらなるトラブルに見舞われることに……。
「まだ、運び屋さんを続けてるの?」
サニー・ロード
実家で母と二人で暮らしている、シーモアの実妹。
怪しい仕事を続けている兄のことを心配している、善良で真面目な大学生。
「お兄ちゃんの頼み事はいつも急ですね」
フランシーナ・ホーンズビー
煙草屋の店番にして、街の裏側に精通する情報屋。
愛称は「フラン」。シーモアとは知己の中で、彼のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。
シーモアの仕事を手伝いながら、穏やかな日々に身をゆだねるルーミー。
マフィアが跋扈する混沌とした街の中で、いくつもの問題を切り抜けながらも二人はやがて思いを寄せ合うように。
だが吸血鬼である彼女が隠していたひとつの秘密が、二人の関係に大きな変化を生じさせ……。