声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?

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「……あー、あんたとラジオやるの、ぜんぜん慣れないわ」
「……そうね。わたしもそう思うわ。ぜんぜん慣れない」
「だいたいさぁ、根暗な渡辺わたなべ夕暮ゆうぐれ夕陽ゆうひのキャラが違いすぎるんだって。『そんなことないよぅ』なんてよく言えるね。ふわふわーっとしたしゃべりを聞くたびに、ぞわっとするんだけど」
「それはお互い様でしょうに。なんで佐藤さとうみたいな頭の悪そうなギャルから、歌種うたたねやすみの元気でかわいい声が出るのよ。ちょっとしたホラーなんだけど」
「は? それを言うなら……、ん? はぁー、へぇー? ふーん?」
「……なによ、気持ちの悪い声を出して」
「あたしみたいなギャルから、歌種やすみの元気でかわいい声が出るのがホラーだって?」
「そう言ってるんだけど?」
「あたしの声は、元気でかわいい?」
「――。言ってないわ。そんなこと。断じて。あぁ、かわい子ぶってるって言ったんだけど、聞こえなかったかしら。都合よく解釈したいなら、お好きにどうぞ」
「こいつ……。最初の挨拶で噛んでリテイク入れたくせに、随分はしゃぐじゃない」
「っ。あなたそれ本当にいい加減にしなさいよ。人がミスしたあとに、『その挨拶も慣れてきたね』って、よくもそんな性悪な嫌味を入れられるわね。普段はあなたの方がミスだらけなのに」
「今あたしの話関係ないから。渡辺のミスの話だから。あと普段もそんなにミスしてないんで。人にミスを押し付ける前にちゃんと反省したら?」
「出たわ。あなたのそういうところ、本当に嫌い。自分のミスはすぐ忘れるくせに人のミスばかりグチグチと。あぁもう、なんであなたみたいな野蛮人とラジオをやってるのかしら」
「それはこっちのセリフだっつーの。根暗丸出しの女といっしょにラジオだなんて、あたしだけ難易度高すぎなんだけど。だいたいさぁ……!」
「……ふたりとも、盛り上がってるところ悪いけど。もう再開するって。えー、三、二、一」


「はぁい! というわけで~、今回は新コーナーがあります~。やっちゃん、説明をどうぞ!」
「はーい! 任せて! ええとですね、今回やすみたちが挑むのは! なんと……!」


 人間、どうしたって合わない相手はいるものだ。
 そりが合わない。気に喰わない。相容れない。見ているだけで腹が立つ。
 プライベートなら近付かなければいいけれど、仕事となるとそうはいかない。
 ましてやそれが、ラジオのパーソナリティ同士なら。
 合わない相手であっても、それをリスナーに気付かれてはいけない。
 そんな相性の悪い相手と、ラジオ番組をやっていくとして。
 果たして、どこまで耐えられるものでしょうか――。