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 もちろん銃を持った暴徒と警官隊の間に割って入る訳じゃない。
 そもそもこっち側からだと橋が落ちているからセーヌ川を渡れない。
 そしてウイルス感染させるだけなら、わざわざ川を渡る必要もない。対岸から電波を飛ばすだけで良い。
「トゥルースっ、これほんとに届くの!?」
「いけるだろ。向こうが自動設定なら」
 ケータイ電波や無線LANは個別に強固な暗号が施されているけど、中にはユーザー設定不要でザルな電波も飛ばしている。例えばスマホの時計がいつも正確なのは? 常にサーバーとアクセスしているからだ。
 時計設定に相乗りして勝手に電波を拾わせる。市町村などのデータにウィルスをくっつければ無抵抗に引っかかる。
 ……若干ながら工夫も必要だったけど。アナスタシアのスマホをアルミの傘で覆って、拡散するはずだった電波を細く長く飛ばすとか。目には見えないからイメージしにくいかもしれないけど、電波はソーラークッカーみたいに指向性を操れる。
 その証拠に、

『アクセス復旧を確認。お手間をおかけしてしまい申し訳ありませんでした』

 アナスタシアとハイタッチした。
 反撃はここからだ。