エロマンガ先生 妹と開かずの間

序文

 我が家に妹がやってきた日のことを、いつも思い出す。

 三月上旬、暖かい気候が続く中、その日だけは朝から冷え込んでいて、一面まっしろな空が俺たちを見下ろしていた。

 春にふった雪のように儚げなあいつは、母さんの後ろに隠れて、俯きがちに俺を見つめていたっけ。

 今日からおまえの妹になるんだぞ。

 この子をよろしくね。

 両親の願いに、俺は笑って、はい、と答える。

 母さんに促され、おずおずと俺の前に進み出たあいつは、俯いたまま頰を赤らめ、小さな声で囁いた。



「はじめまして、兄さん」



 妹とは、それからずっと、会っていない。

刊行シリーズ

エロマンガ先生(13) エロマンガフェスティバルの書影
エロマンガ先生(12) 山田エルフちゃん逆転勝利の巻の書影
エロマンガ先生(11) 妹たちのパジャマパーティの書影
エロマンガ先生(10) 千寿ムラマサと恋の文化祭の書影
エロマンガ先生(9) 紗霧の新婚生活の書影
エロマンガ先生(8) 和泉マサムネの休日の書影
エロマンガ先生(7) アニメで始まる同棲生活の書影
エロマンガ先生(6) 山田エルフちゃんと結婚すべき十の理由の書影
エロマンガ先生(5) 和泉紗霧の初登校の書影
エロマンガ先生(4) エロマンガ先生VSエロマンガ先生Gの書影
エロマンガ先生(3) 妹と妖精の島の書影
エロマンガ先生(2) 妹と世界で一番面白い小説の書影
エロマンガ先生 妹と開かずの間の書影