第一章 ⑩
分かってるさ。こいつが
人をなめた、ふざけた話さ。
けどな……そんな理由でも桐乃は、自分が抱え込んでる悩みを、こうして俺に話してくれたわけだ。
……んじゃ、しょうがねえよな。
俺が目をつむって
「やっぱさ……お
「
うおお、びっくりすんなあ。実はこいつ、天然なんじゃねーの?
「それもそっか。……じゃ、やめとく」
「そうしとけ。特に
そんな親父が、
「見付かったら……まずいかな……?」
「まずいだろうな。正直、その展開は考えたくもねえ。だから、そこは協力してやる。おまえの趣味がバレないように……つっても、何ができるかは分からねえけどさ」
「……いいの?」
桐乃は意外そうな顔をしていた。
……おまえさ……俺をどういう評価してたわけ? おっかないから聞かないけどよ……。
などと不満を抱きつつも、俺は
「いいさ。何かあったら、
俺は成り行きで口にしてしまったこの
「……そ、そう? ……じゃ、そしよっ、かな……うん……そうしてくれると、助かる、かも」
桐乃は礼こそ一言も言わなかったが、しきりに小さく頷いて、
そんな妹を見ていると、正直、悪い気はしない。
──ふーん、こういう顔もできるんじゃん、こいつ。
俺は意外な
なんだかなぁ……ちっとばかし無責任なこと言っちまった気がするが。
まあいいか、どうにかなんだろ。俺に例のブツを見付かってから
協力せんわけにゃいかんだろ。
……やれやれ、とにかく『最悪の展開』じゃなさそうでよかったぜ。
「ところでおまえ、あくまで『妹』が好きで『妹もののエロいゲーム』を買ってるんだよな? ……他意はないんだよな?」
「は? じゃなきゃなんだと思ったワケ?」
俺がさらなる安心を求めて
そして数秒後、俺が心配していた『最悪の展開』について思い至ったらしく、さっと
「……キモ。なわけないでしょ」
おお、
やべえ、むかつくはずなのに妙に安心しちまった。さっきの
「キモ、っておまえな……おまえの好きなゲームだと、妹ってのは兄貴が大好きなんだろ? 自分で否定してどうすんだよ?」
「……ばかじゃん? 二次元と三次元を
こいつ、いま
「もう用は済んだから。そろそろ出てってくんない?」
ちくしょう……やっぱかわいくねぇよ、こいつ。