第一幕 コープス・リバイバー 5 ③
「──っ!?」
「駄目だよ、ヤヒロ。その質問の答えは、道案内の報酬だから」
床に
ヤヒロには、なにが起きたのかわからない。かろうじて理解できたのは、ジュリがヤヒロを軽々と投げ飛ばし、そのまま組み伏せているということだけだ。
「離……せっ!」
ヤヒロは、どうにかジュリを振りほどこうと抵抗するが、彼女に
「ろーちゃんの言ったとおりだね。
「おまえ……らっ……!」
「あ……ちょっと、当たってる! どうしよう、ろーちゃん。ヤヒロに思いっきりおっぱい触られちゃってるんだけど……!」
「おまえが勝手に押しつけてきてるんだろうがっ!」
思いがけない非難を浴びて、ヤヒロが必死に反論した。
ジュリが背後から関節技を仕掛けているせいで、ヤヒロの右腕は彼女の胸にがっつり押し当てられる形になっている。肩の激痛を差し引いても、その柔らかな弾力ははっきり感じられて、ヤヒロはこれ以上、
「それくらいは大目に見てあげてください、ジュリ。女の子のおっぱいに触れるような幸運、これまでの彼の人生とは無縁だったのですから──」
ロゼが、どことなく不機嫌な声で言う。背格好も顔立ちも
ジュリは小柄ながらなかなかの膨らみの持ち主で、一方のロゼは見事なまでに
「これで理解していただけましたか? 私たちの安全については心配無用です」
ロゼが大きく
背中にかかっていた圧力が不意に消え、ヤヒロの
たしかに認めざるを得なかった。少なくとも格闘技の実力では、ジュリはヤヒロよりも
「クシナダの
ロゼがあらためて尋ねてくる。ヤヒロは彼女を
「本当に……
「はい」
「もしそれが
「
ロゼは
「これは?」
ヤヒロは、床に落ちる寸前にその写真を受け取った。盗撮用のカメラのようなものを使って、こっそり撮影したデータをプリントアウトしたものらしい。
「報酬の前払いです。あまり鮮明な映像ではありませんが」
ロゼが微妙にはぐらかした答えを返してくる。それ以上の説明をする気はないらしい。
ヤヒロは、受け取った写真を裏返して印刷面を見た。
撮影した場所が暗かったのか、画質が粗い。
写っていたのは、窓のない地下室に置かれた患者搬送用ストレッチャーだ。
その少女の名前を、ヤヒロは知っていた。
「
ヤヒロの口から
目を見開いて、
「あなたの妹さんは──
ロゼが無感動な口調で告げた。
ヤヒロはなにも答えずに、写真に写る妹の姿を



