プロローグ

 こいにも、痛み止めがあればいいのに。


 自分のこいごころにくらい、正直でいられたらいいのに。

 気持ちを伝える勇気が、もっと簡単に持てればいいのに。

 あの人が、自分のことを好きだったらいいのに。


 こいに関するそんな思いが、俺には痛いほどわかるから。

 俺にしか、できないことがあるから。

 だから、自分がなることにしたんだ。

 こいのキューピッドに。


 ……いや、おおだな。

 早い話が、なんてことない、ただのよくあるれんあい相談。

 うん、そうなると思ってたんだよ、最初はさ──。

刊行シリーズ

天使は炭酸しか飲まない4の書影
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