一章 彼女と彼女の恋愛事情 ⑧
ポエムを書くのが世間の常識みたいな言い草だし、自分の受けた痛みを他者にも味わわせることで満足を得ようとする、およそ世界平和から程遠い思想にも
「それは無理な話だ」
「ほらね。所詮その程度の覚悟しか……」
「ない袖は振れないだろ」
「はい?」
「だから、相手がいないから教えようがないってこと」
「……」
何を言われているのか理解できない、不思議そうな顔。次に、何かに気付かされたようにはっと目を見開き。最終的には本気で同情しているような
「その……なんか、ごめんなさい? 強く当たったりして」
「マジで
これだから恋愛脳を相手にするのは嫌なんだ。うんざりする
こいつらは総じて恋に焦がれることこそが健全の象徴だと思い込んでいる。それこそが人生の
「誰からも愛されないからって、あなた自身が誰かを愛しちゃいけないわけじゃないのよ? 人を愛することは神様が私たちへ平等に与えてくれた権利なんだから」
「ケッ。偉そうに………………って、うおっ!」
すぐにロックを解除して扉を開け放った。後ろから続くのは不服そうな声。
「ちょっ、まだ話の途中でしょうが」
「うるさい。争いは同レベルの者同士でしか発生しないんだ」
「はぁ? それってどういう……」
そうして、半ば魔境と化していた視聴覚室を脱出。幸い五時限目に遅れることはなく。
力尽くで連れ去られる現場を目撃されていたせいもあり、いったいどんな
気楽に信じ切っていたこのときの



