終幕 ③
「見せていただけますか」
ロレンスの言葉に、マールハイトは部下から書類を受け取り、ロレンスの
ロレンスはそれを受け取ると、契約の際のお決まりの文句を飛ばして明細
何の商品か分かればどこの誰からのものかすぐにわかるからだ。
そして、そこにあった商品名は身に覚えのないものだった。
「えーと……」
と、首をひねりかけたが、その瞬間にベッドの上で
マールハイトが驚いて声をかけようとするが、ロレンスはそれを待たずにベッドから飛び下りる。痛む左
「あ、あの」
「どいてくれ!」
ロレンスは
「荷揚げ場はどっちですか」
「あ、えっと、その廊下を突きあたって、左に行った先をずっと行けば」
「ありがとう」
短くそう言ってすぐに駆け出していた。
結構な金額に上る請求書を握りしめ、ロレンスは力の限りに走っていた。
手に握りしめられ、くしゃくしゃになった請求書に書かれていた品名は、ロレンスにそこまでさせるものだったのだ。
日付は今日のもの。請求元はパッツィオの市で店を開く毛織物商と
その内訳は、
銀貨にして百四十枚に上るそれらは、特に林檎などとても手に持って運べる量ではない。
そのくせ、その請求書には荷馬車の項目がなかったのだ。
それから導かれる結論。
ロレンスは荷揚げ場にたどり着いた。
たくさんの商品が山と並び、遠方から運ばれてきた物と、これから運ばれていく物が
ロレンスは辺りを見回して、絶対にあるはずのそれを探し回る。
広い荷揚げ場にはたくさんの馬と荷馬車がある。散らばる
ロレンスのそんな様子を荷揚げ場の連中が不思議そうに見つめていたが、当の本人はそれら一切を無視して一点だけを見つめていた。
荷台に山と林檎の詰まれた荷馬車の
一見して高級品だとわかるローブを身にまとい、フードを
「北の森まで金の取り立てに来られてはかなわぬからな」
ロレンスは御者台に歩み寄って、かたくなにロレンスのほうを見まいとするホロに向かって右手を差し出した。
ホロはちらりと
ロレンスがそれを
「帰るのは借りを返してからじゃ」
「当たり前だ」
ロレンスの手を、ホロがきつくきつく握り返してきたのだった。
この
即ち、