第二章 これから先の事、選択するべき事 Dream. ②
3
第七学区の定食屋を出た
取り出して画面を見てみると、『
が、通話ボタンを押して耳に当てると、彼女とは違う声が聞こえてきた。
『浜面ーっ! ったく、超遅いんですよ基本使いっ走りのくせに! 一体どこまで超逃げてやがるんですかーっ!!』
『もーいーよ。
「そ、そうか。俺は今───」
『良い、良い』
続けて彼女はこう言う。
『なんか退屈だし、
「?」
『私と、
『どうせなら、超バニースーツを着るの刑とかにしましょうよ』
「ナニィ!!!???」
『……何やら浜面が超
『……
(あれ!? バニー部分は全否定された!?)
『それじゃ、今から浜面捜し競争の超始まりという事で。よーいドン』
プツッと通話が切れた。
浜面は携帯電話の小さな液晶画面を眺める。
第三次世界大戦なんてものを乗り越えても、結局、浜面は近所の不良に追い掛け回されたら逃げる事しかできない
ただ、それでも今の自分には人と人の
フレンダというメンバーは欠けてしまったけど、浜面達はまた『アイテム』という繫がりを取り戻した。
いなくなった自分を捜しに来てくれる人達がいる。
その事が、派手ではないけれど、浜面の心の奥底の支えとなっていた。
そういう事に、改めて気づかされた。
(……ホント、いつまでも逃げ回ってるだけじゃ済まねえな)
浜面はそう思う。
この平和な世界での戦いは、きっと
と、そんな風にしみじみしていた浜面だったが、
(……あれ? 滝壺達は俺を捜してくれるって言ってたけど、その間、俺はどうしてれば良いんだ?)
好き勝手に移動して良いのか、ここでじっとしていなければいけないのか。
実は細部のルール説明がされていないままゲームが始まってしまっていた。よって、
「おやー?」
と、へっぴりオブジェHAMADURAに声が掛けられた。
少女のものだ。
浜面が振り返ると、そこにいたのは……なんと表現するべきか、丈の異常に短いミニ
知り合いでもあった。
名字は知らないが、
彼女は肩、胴、脚などに巻きつかせた
「浜面氏じゃないですか? こんな所で何やってるんです?」
「世紀末帝王ランドマーク」
「?」
人知れずゴール地点となっている浜面は、詳しく説明せずに淡い笑みを浮かべた。
「郭ちゃんこそ何やってんの? また
浜面の知る限り、この郭という少女は忍者マニアの
それが関係しているのか知らないが、なにかしら心境の変化があったのか、このところ口調が丁寧になっていた。
「やだなぁ。半蔵様は今ちょっと忙しそうな感じですから、私は別行動中です」
「そうなの?」
「そうですよー。っていうか、今でも本気で半蔵様を捜している最中だったら、たとえ色仕掛けを使ってでも浜面氏から持っている情報を全部引き出していますって」
「いろ、じか、け……?」
普通なら喜ぶべきかもしれない。にも
大体郭がこんな事を言う時は危険な兆候だ、と浜面は身構える。
その顔がよほど気に食わなかったのか、郭はムッとした顔で着物の帯へ手を伸ばすと、
「何やら
「ちょっ待て脱ぐな脱ぐな!! 目的なき色仕掛けは際限のないエロ地獄にしかならない!!」
彼女はこう言った。
「
「そういや、何かやる事あるとかって言ってたっけ? メシ食う時間もないとか、忙しそうな感じだったけど」
「半蔵様とは?」
「さっき会ったよ。そこの定食屋で。あいつ、相変わらず庶民派の和風家庭料理ばっかり
「まぁ、中華料理屋でフツーの野菜炒めを頼むような方ですからね」
「焼肉屋で煮魚を頼むようなヤツだし」
はっはっは、と共通の見解を得て意気投合する二人。
「となると、へえ。浜面氏も半蔵様から話は聞いているのかな?」
「軽くなら。
「うーん。私が今
「郭ちゃんが関わってるのって何よ?」
「いや、半蔵様が抱えている案件に私が首を突っ込んでいるだけなんですけどね。でも、あんなの抱えたまま、別件で動けるのかなあ?」
「?」
「でもまぁ、浜面氏はもう聞いているって話だし、しゃべっちゃっても
「何が?」
「だからあれですよ。あの話───」
4
チラシの印で指示された通り、
「ふりかけ、
「合成物以外まともに食った事のないミサカが言う事じゃないんだろうけどさ、ご飯にかけるもの多すぎない?」
「手を抜きたがってンだろ。これが冷凍食品のオンパレードじゃねェだけマシだと思え」
「冷凍食品でもミサカにゃ
そこで、
これが
それでも、
「ひよこのマスコットなんてベッタベタな……。親御さん、そいつは
「あのガキの本質はどォあれ、趣味
「……オマエもミサカネットワークの一員で、『一つの大きな意思』からの
「あのね。ミサカはネットワークから干渉されているとはいえ、それは『ネットワークの中の悪意や黒い部分』に特化しているんだってば。あの
「……、」
「そもそも、ミサカは『それを
すい、と
逆方向へもう一度振ると、やはりアオザイ少女の目線も移動する。
「オマエ、さっきからひよこのマスコットから目を
くっ!! と
「……ま、まさか、このミサカを
「そもそもナンバリングで言えば、オマエの方が妹だろォがよ」