行間　四

　街の通信機能を一時的に麻（ま）痺（ひ）させ、警備員（アンチスキル）や風紀委員（ジヤツジメント）へ通報できない状況を作った上で、リスト化した凶悪な能力者達である『標的』を集団で襲（おそ）って無力化させる。

　計画は着々と進んだ。スキルアウトと言っても様々な組織があるが、連絡を取ると概（おおむ）ね賛同の意見を取り付けられた。人員、金銭、物資。それらが計画の成（じよう）就（じゆ）に必要な量に達するのを、駒（こま）場（ば）や周りの少年少女達が実感し、喜んでいた。

　しかし同時に、駒場利（り）徳（とく）はこうも考えていた。

　そう甘くはないだろう、と。

　いくら大勢で取り囲んだところで、強大な能力者を確実に排除できるとは限らない。たった一回の排除で全（すべ）ての標的を無力化できるとも限らない。何より、これはもう無（レ）能（ベ）力（ル）者（０）と能力者の争いの域を超えている。もっと学園都市の『上』が、この街の仕組みを維持する強大な力が、駒場達の計画を妨（ぼう）害（がい）するために動き始めるだろう。