終章 ささやかなる祝宴と招かれる暗雲 Witch.
こうして、『三人』は集結した。
危険はまだ取り除かれていない。そう判断した
最初、外側から強引にこじ開けられる扉を見てパニックを起こしそうになっていたフレメアだったが、浜面の顔を見ると
「いきなりで悪いんだけど、これどういう状況?」
と尋ねたのは
現代的なデザインの
「状況を傍受してここまで来たンじゃねェのか?」
「久々に学園都市まで戻ってみたら、なんか
チッ、と舌打ちする第一位。
不幸というその性質も含め、根本的な立ち位置の違いを再確認している訳だが、上条の方にはそんな心の動きまでは読み取れない。
代わりに浜面の方が答えた。
説明を受けている内に、上条の顔が
対照的に、浜面の方は多少上条の右手に興味がありそうな目を向けていた。
「それにしても、その右手。他人の能力を打ち消したりできんのか?」
「そっか。お前とは
「どォでも良い」
「この局面でオマエが出てきた。科学の『
「……今回、お前達を
「準備だと?」
「新しい敵と戦うための。……いいや、本当に第三次世界大戦が終わっているのかどうか、地続きなのか本当に『新しい』のか、そこから調べないといけない段階なんだろうけど」
その言葉に、
彼らも
「『ヤツら』と戦うために学園都市は準備を進めている。軍備を増強するのはもちろん、学園都市内部の体制を固めて、戦いやすい方向へシフトしようとしている訳だ。これはそれだけ学園都市が『ヤツら』を警戒しているって考えても良いだろう。……片手間で相手にできるようなスケールじゃないって判断しているんだ」
「『ヤツら』ってのは?」
浜面は質問する。
「学園都市の敵ってのは、あの戦争を仕掛けてきたロシアの事か? でも、あそこはもう戦う意思は見せていないだろう」
「……、
上条はわずかに
「例えば、学園都市が掲げる『科学的に開発される超能力』とは全く別の、超常現象を起こす法則が存在するって事とか」
「何だって?」
「……、」
浜面の疑問と
上条は続ける。
「その『異なる法則』を自在に操る連中が組織を作っていたり、世界の暗部で色々活動していたり、学園都市と対立していたり。……そういう事を信じられるか? 学園都市だけが、この世にある不思議な現象の
「
彼がそれを知っている事に上条は
「俺も詳しく知っている訳じゃない。厳密に言えば、俺は学園都市の人間であって、『外』の連中の事は知っていても、そこに所属している訳じゃないからな」
言いかけた上条の言葉が、不意に途切れた。
理由は簡単だ。
背後から。
小さな足が跳ね上げられ、ずむっ!! と上条の右足と左足の間へと勢い良くめり込んだからだ。
より正確に表現すると、人間の代表的な急所の一つに、である。
「ば……ばう……ッ!?」
「さっきからペラペラペラペラ。偉そうに語る前に、お前には頭を下げるべき人間に頭を下げるという大事な仕事があったんじゃなかったのか? ったく、一体何人泣かせているのやら」
そこには小さな女の子がいた。多くの黒服の男達を引き連れているのは、一二歳程度の金髪の少女だ。シックなブラウスやスカート、ストッキングなどの配色が、彼女に古いピアノのような印象を与えてくる。
深く重く
「後の説明は私がやる。お前は自分が泣かせた女への言い訳でも考えている事だな」
「こ、こにょ人は……お、俺を北極海から引き上げてくれた人達だ。……って言っても、中央でふんぞり返っている小さいのじゃなくて、周りにいる人達がロシア国内に
そいつ、何だかウチの妹みたいなオーラが出ているなぁ、と
「バードウェイだよ」
と、彼女は名乗る。
「『明け色の