プロローグ
「……わたしは好きだから」
生放送の本番中に思わずこぼれた自分の言葉に、
けれど、それも
昔からそうだった。
度胸がすごい、と
逆に、向かいの席で、かりんは混乱した顔でこちらを見ていた。
大きく見開かれた
だけど、先刻まで青ざめていた
だったら、いい。
調整ブースの窓の向こうで大人たちが
今、伝えなければならない──最強の味方が、ここにいるってことを。
「……これ、営業トークじゃないから」
すずねは、まっすぐにかりんを見つめて、はっきりと言った。
「──わたしは、あなたが好き」