プロローグ 雪山山荘殺人事件
もし事件が起きることが先にわかっていたならば、私はもっと
平成の名探偵
犯人の独白
魔が差した、としか言いようがなかった。
確かにアイツのことは殺したいぐらい憎かったが、実際に殺すなんてあり得ない。
やってはいけないことの分別ぐらいついている。
殺してやりたいと思っても、せいぜいが頭の中の想像で済ませるだけだろう。それで表面上は仲の
現実で殺人だなんて、捕まったらどれだけの間、刑務所に入れられるか。
人生終わりだ。
だが、そう、捕まらなければいい。バレなければいい。
事故死、事故死なんだ。防犯カメラはなかった。証拠なんてない。誰にも見られていない。
こんなことで、捕まってたまるか。
そんな思考をしていたところに「パンパン」と二回手が打ち鳴らされた。
「はい、ちゅうもーく!」
まだ
「皆さんご存じの通り、不幸にもこの山荘で殺人事件が起きてしまいました。警察が到着するまで暇だと思うので、今のうちに犯人を特定したいと思いまーす」
この山荘には自分を入れて九人の人間がいる。
女は一同の前で勝手に話を進めていき、
「談話室の方が雰囲気でるからそこに移動で!」
くだらない理由で談話室へ集合させ、
「あなたは見事犯人に選ばれました! ぱちぱち~!」
こちらを指差し、推理とも呼べない暴論を披露しはじめた。
「────! ────!」
自分は当然反論をする。ふざけるな。納得できるか。証拠がない。
「じゃあここからは探偵役を
そうして女は自分が座っていたソファを若い男に譲る。
「……
暖炉の
「身構えなくともすぐに終わる。俺の仕事はもう終わらせたからな」
またわけのわからないことをのたまいやがる。
全く、この探偵ごっこはいつまで続くんだ……?