プロローグ

 ねむれない夜。考えたりする。

 ──もし俺が、かんおけに片足っ込んでいない系中学生にもどれたら、と。


 身体からだの内側のこわれた部分が治り、同世代大量男女青春発生地点スクールライフに復帰する。

 学力の問題ではなく、寿じゆみようの問題で進学できない。そんなことを気にしないで済むじようきよう下で取り組める勉強。

 きっと、やりがいを見いだせるはずだ。

 ──もし俺の身体からだが初めから、死に至る病におかされていなかったら。

 看護師さんにを聞かれたら、そくカウンセリングの手はずが整えられる日常も。

 病院食の合間に食べるカップラーメンの異常なうまさも。

 木曜日の夜の苦しみも。

 知らないままだったろう。

 ──でも俺が余命宣告受けていない系男子だったら。

 カップルYouTuberになることも。

 元カノとは再会することも。

 そして、中学生らしからぬイベントを明日にひかえて、こんな風にねむれなくなる夜を過ごすこともなかっただろう。

 中学生らしからぬイベントとは、なにか。

 けつこんしきだ。

 俺と、ほのかの。

 明日のほのかの身体からだは、少しでも楽になれていますように。

 いのり始めて、まだまだねむれない夜。

 やがて、ほのかと出会った夜を思い出す。

 あの夜もねむれない夜だった。