Prologue.

 ここよい音っていうのがある。

 祭ばやおどる笛と和だい、夏風にれるふうりんの音、鉄板で肉とあぶらねる音。

 たいていの場合、そういう音のそばにはだれかのがおがある。

 だれかといつしよに笑いたいっていう気持ちが、それを鳴らしているから。

 だけど、それにはいつか終わりが来る。永遠に鳴り続けることなんかない。

 そもそも永遠なんてもの、そう在りはしないんだ。

 それでも、俺は知っている。

 だれよりもかがやき、おもいをひびかせ、

 いつまでもいろせることなく、だれかのとなりで音をかなで続ける存在を。

 それは……そう、例えば。

 どれほど世代を重ねても、心をわしづかむような。

 一つの星が果ててもなお、鳴り続けるような。

 そんな、一人の少女を。

刊行シリーズ

星が果てても君は鳴れの書影