プロローグ
宵闇の中──
一方は純白の髪の少女。幼さと美しさが絶妙に
もう一方は華美な衣服に身を包んだ男だった。
「本当に参加するつもりかね。
「はい。お父様には是非お許しをいただきたく」
男は、「はあ」と
「
「それは……」
少女は口籠る。男の言はすべて正しい。この世界において重要なのは、一にも二にも力である。ところが、少女はあらゆる意味で力不足だったのだ。
「……何とかします。私は
「決意は揺るがない、といった様子だな」
少女はこくりと
六人の戦士を選び、異界で武を競わせる儀式──〝
優勝することができれば栄光が手に入るが、できなければ、待っているのは尊厳の破壊と無様な死だけ。しかし、少女にはこの戦いに身を投じる道しか残されていなかった。
「──分かった。許可しよう」
「ありがとうございます」
少女は深々と頭を下げる。
「──必ずや
不安。後悔。恐怖。
あらゆる負の感情を胸にしまい、少女は立ち上がる覚悟を決めた。
小さな願いを懸けた戦争が、静かに幕を開ける。