幼馴染のVTuber配信に出たら超神回で人生変わった

プロローグ

 十月某日、平日の真っ昼間。つい昨日、人気VTuber事務所『スカイサンライバー』から新人ライバーとしてデビューした俺、『ルイ・アスティカ』は謝罪配信を行っていた。


「……あー。あーあー。聞こえるでしょうか皆様。どうも、ルイ・アスティカです。まずは昨日、配信の切り忘れにより、大変お見苦しいところをお見せしました……本当に申し訳ございませんでした!!!!!!」


 謝罪の言葉を言ったのと同時に、俺はモニターへと頭を下げる。それと連動して、画面の中のキャラクター、ルイも萎縮するように縮こまった。その後、ゆっくり顔を上げてコメント欄を確認すると、視聴者からは【草】と大量のコメントが投下されていた。流れるスピードが速すぎて、名前なんか視認出来ないほどだ。


「それで今後はこういったことがないよう、十分に……アレします! えっと……指差し確認とか!」


 魔道士の格好をした、強キャラ漂うキャラクターからはとても似合わない『指差し確認』というワードが面白かったのか、コメントは【現場の猫かよ】や【ヨシ!】などのツッコミが流れてくる。もちろんそんなコメントを拾い上げる余裕もなかった俺は、続けてマネージャーさんに報告するよう言われていたことを、視聴者の皆に伝えていた。


「えー、それで非公開にしていた、初配信のアーカイブも公開しました! 多分もう見れるようになっていると思います!」


 言うと視聴者は【ありがとう】【助かる】と感謝を伝えてくる他、【ラーメンのシーンは?】【すする~! のシーンはカットしないでください!!】と、放送事故の起こった場面が切り取られてないかどうかを聞いてくるコメントも大量に流れていた。『ラーメン』という単語で、まわしい記憶が呼び起こされた俺は、たまらず大きな声を上げていて……。


「ラーメンラーメンうるさいよ君達は!!」


 そんな俺の反応に、また視聴者は【草】と、新しいおもちゃを与えられた子供のように(案外これ比喩表現じゃないかもしれない)コメントを流してはしゃいでいた……はぁ。VTuberになると決心した以上、与えられたキャラクターをちゃんと演じて。クールで最高にカッコいい姿を見せていくはずだったのに……。

 どうして……どうしてこうなった?