プロローグ
画面の向こうで、百人近いリスナーがわたしを待っていた。
暗い部屋の中、異界へのゲートみたいに光っているパソコンディスプレイ。
そこに表示されているのは、見慣れた配信用ソフトだ。
設定しておいたシーン一覧とソース一覧。オーディオミキサーに、配信イメージ画面。
現在──ステータスは配信開始二分前。
画面の
「……ふぅ」
それを
配信を始めて……半年くらいになるのかな。
人との関わりを
おかげでずいぶんと、話をするのに慣れてきた。言葉に
それでも──この感覚はいつだって変わらない。
放送開始直前、予定時間を待つ
だからわたしは──、
「……よし」
──いつも通り、わたしだけの「ルーティーン」にとりかかる。
デスクの上をささっと整理。物を決められた場所に一つ一つ置いていく。
収まるべき場所にある放送機材、小物たちは、なんだかわたしを守ってくれる心強い仲間みたいだ。
一通り終えて、最後に
「……マイクOK、ヘッドフォンOK、アプリOK、お茶OK。んん……。
──これで準備
気付けば、気持ちも落ち着いている。
自分の中で、モードが変わったのを感じた。
本好きの女子高生『
──うん、いける。
時計を見れば、配信までの時間は十秒を切っていた。
待機人数も、百五十人に届くほどになっている。
そろそろ始めよう。
「よし……」
マウスに手を
そして──、
「……スタート」
人差し指に力を入れ、わたしは配信を開始する。
──さあ、今夜も



