A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]

0 序 intro

 計器類がわずかに灯るやみの中、二人は語り合う。


「なあ、ボギー」

「……」

「こうやって並んでるとよ、本当に区別なんかない、そう思えてこねえか」

「……何が」

おれたち……人間とロボットが、だよ」

「哲学書でも読んだ?」

「いんや、レトロムービー。昨日、キットの買い物に付き合って、メシ食って、んで俺がもっと遊ぼうぜって誘ったらさ、キットも『いいよ、だけど給料日前なんだから……』」

「アンディ、話がれてる」

「……楽しい美しい思い出を、ここぞとばかりにろうしたい男心が分からんのかね、キミは」

「『人間とロボット』」

「おっ、乗ってきたな。ええと、そう、俺たちはほとんど同列だよな」

「いいことだ」

「レトロムービーなんかじゃ、よくどっちかが支配したり反乱したりしてるってのによ。うまくやってんじゃねえの、俺たちの方は」

「ん……ロボットが人間と同権を持てた理由は三つだ。一、技術が人に追いついたこと。二、人間が技術にじゆんのうしたこと。三、社会のゆう

「あー、二つは分かる。まずニューロン・ドームつくりものは自然脳と生成過程が違うだけで、機能的には同じってこと。んで次が、人間も改造でスペックアップができるようになって、ロボットへのれつとうかんがなくなったってことだろ。でも、なんだよ、その最後のシャカイノヨユーってのは」

人たり得る物マシンアダムを生むことを技術が可能にしても、それを受け入れるだけの余裕が人間社会の側になければ、その存在カレは封殺される、ということだよ。今は幸い、そうじゃなくなった」

「ふ~む……要生存剤培養槽ライブメンテ・プラントの整備で食うには困らなくなった、権利兌換制バーター・システムを導入して社会は『去るを追わず、入るを拒まず』の自由意志競争化した、おまけに〈ゾーン〉で活用空間は無限大、と……なるほど、ロボット君たちを入れてやってもいい、って思えるようにもなる好条件だわな」

「人間は、余裕がなければやさしさを持てない。至上の価値をふいちようされている人道も倫理も、しよせんは余裕の消費行動に過ぎないよ。ひんきゆうすれば、無視される」

「ヒュー、手厳しいね」

「ただの事実さ」

「そんなにに冷たいと、せっかくの天然モノがこおっちまうぜ、『ボギー』」

「君がしすぎなんだよ、『アンディ』」


 そのとき、通信機が元気のいい少女の声を、彼らの元に届けた。

《突入予定空域に到達。ディビジョン・エクスターミネーターA/B、発進!》


「どーぞ」


 の声が重なり、そしてやみが開いた。

幸運をグツド・ラツク!!》